【12月12日 AFP】中国政府は12日、新型コロナウイルス感染拡大防止のため導入していた行動追跡アプリの運用を、13日で終了すると発表した。

 感染を徹底的に封じ込める「ゼロコロナ」政策を敷いてきた中国は先週、一転して行動規制の大幅緩和に踏み切った。

 運用終了を発表した国営アプリ「通信行程カード」は、2020年に導入。携帯電話の位置情報を利用して、感染の危険が高い地域への移動履歴を追跡する仕組みで、「ゼロコロナ」政策の中核を担ってきた。

 携帯電話番号を登録したユーザーの感染リスクを4段階で色分け表示。自治体間の移動や公共施設への入館、イベント入場の際に、アプリ画面に緑色の矢印が表示されていることを提示する必要があった。

 ただ、中国には他にも日常生活を管理する行動追跡アプリがあり、市や省が運用する「健康コード」は現在も多くの人が店舗やオフィスへの出入りに使用している。

 規制緩和が進む一方、数百万人の高齢者がまだワクチン接種を完了していないにもかかわらず、感染力の強い変異株「オミクロン株」の感染が急増していることに、保健当局者は強い懸念を示している。

 感染者数は先月に過去最多を記録した後急減しており、12日の新規陽性者数は8626人だった。しかし、大規模検査の義務付けが見直されたことから、実際の感染者数はこれをはるかに上回るとみられる。

 著名ウイルス学者の鐘南山(Zhong Nanshan)氏は11日、国内でオミクロン株感染が「急拡大している」と国営テレビで警告した。(c)AFP/Jing Xuan TENG