【12月14日 AFP】13日に行われたボクシング、WBA・WBC・IBF・WBO世界バンタム級王座統一戦に勝利し、半世紀ぶりに同級の全団体統一王者となった井上尚弥(Naoya Inoue)が、まだ「ゴール」に到達したわけではないと話し、今後を見据えた。

「モンスター(怪物)」の異名を取る無敗の井上は、ガードを固めるポール・バトラー(Paul Butler、英国)に粘られたが、最後は11回にラッシュを仕掛けてダウンを奪い、KO勝ちを収めた。

 これで長年の目標だったバンタム級4団体統一を実現し、1972年に当時2団体統一を果たしたエンリケ・ピンデル(Enrique Pinder、パナマ)以来となる同級の全団体統一を成し遂げた井上だが、試合後にはボクシング界をさらに席巻することに意欲を見せ、選択肢を検討して次の動きを決めたいと話した。

 井上は「ここがゴールではない」と話し、「リング上ですごく最高の景色を、きょう会場に足を運んでくれたファンの方が見せてくれたが、自分としてはまだまだここは通過点と考えている。満足はしているが、次に向けて切り替えていきたいなという思いもある」と続けた。

 29歳の井上は、スーパーバンタム級へ階級を上げる意向を示している。同級王者のムロジョン・アフマダリエフ(Murodjon Ahkmadaliev、ウズベキスタン)とスティーブン・フルトン(Stephen Fulton、米国)については、「印象というのは今は全然ない」と話し、ひとまずゆっくりしてから、話し合いで今後について決めていきたいとした。

 一方で敗れたバトラーは、井上がスーパーバンタム級でも成功するには、さらに成長する必要があると考えている。バトラーは、井上が「ディフェンスについてかなり無知だ」とコメント。「自分にパンチ力があって、あごも強いと分かっているのだろう」と話した。

「階級を上げても失敗はしないかもしれないが、考えなくてはならないことは少し増えると思う」

 映像は13日撮影。(c)AFP/Andrew MCKIRDY