【12月13日 CNS】2022年に入ってから、中国の20以上の都市が相次いでメタバース行動計画や関連支援政策を発表し、メタバース産業の投融資市場は著しい活況を呈している。政策や資本の後押しを受け、メタバースとその関連産業の発展は、多くの地にとって参入を競う新たな風穴となっている。

 データによると、2022年第3四半期に中国国内のメタバース分野への投融資は339件にものぼり、その総額は228億4000万元(約3912億4400万円)に達した。10月現在、A株(国内投資家向けの株)メタバース関連の上場企業は126社に達しているという。

 2021年はメタバース元年とみなされ、将来のデジタル経済の重要な一部として、メタバース産業チェーンの初歩的な部分は確立されており、産業の幅広い発展の見通しがある。「中国メタバース発展報告(2022年)」によると、中国のメタバースの川上・川下産業の生産額は、ゲームとエンターテインメント、仮想現実(VR)と拡張現実(AR)ハードウェアなどの分野を中心に400億元(約7825億円)を超え、今後5年間で中国国内のメタバース市場規模は少なくとも2000億元(約3兆9124億円)の大台に乗るとされている。

 中国人工知能学会の名誉副理事長で、日本工学アカデミー(EAJ)会員の任福継(Ren Fuji)氏は、最近のインタビューで、以下のように語った。メタバースの開発には少なくともあと10〜15年かかる。なぜなら、メタバースの技術的・理論的な根幹には、まだ突破しなければならない課題があるからだ。だからこそ、メタバースを「来たるべき未来」と定義している。彼は、メタバースが本当に実現できるよう、技術的・理論的な欠点を補い、フォローアップし、発展させていくことが研究者に求められていると訴えた。

 任氏は、メタバースは、現在の技術や理論の水準からみると、簡単に「バブル」になってしまうと考えている。株価が上昇した企業もあれば、社名を変更した企業もあり、投資を実行した企業も多いが、現段階ではメタバースはまだ基盤が確立しておらず、単なる概念に過ぎない。技術や理論が追い付いていないのであれば、それは確実にバブルであり、一般にブームは5年以上続くことはない。しかし、研究者が開発を進め、技術的・理論的なギャップを埋めることができれば、バブルを現実のものとすることもできるかもしれない。

 任氏は、メタバース開発における中国の優位性は、人工知能(AI)によるビッグデータリソースの豊富さにあると考えている。これからのメタバース、デジタル社会では、ビッグデータが非常に重要だ。データをもとに、AIやディープラーニングの手法に基づき、中国はメタバースを実現するために多くのアルゴリズムの改良を進めていくと考えられる。(c)CNS/JCM/AFPBB News