【10月11日 CNS】気候変動など地球規模の問題の解決のため、中国は人工衛星「持続的発展科学衛星1号(SDGSAT-1)」のデータを世界の研究者に公開すると発表した。

 米ニューヨークで開かれた、中国が提唱する「グローバル発展イニシアチブ」の賛同国の会議で、議長を務めた中国の王毅(Wang Yi)国務委員兼外務大臣が表明した。

 SDGSAT-1は、国連(UN)の「2030アジェンダ」の目的に沿って設立された「持続可能な開発のためのビッグデータ国際研究センター」が計画した初の人工衛星。中国科学院の「地球ビッグデータ科学プロジェクト(CAS Earth Big Data Science Project)」が開発し、昨年11月に打ち上げに成功した。

 国連の「2030アジェンダ」とは、2015年に開かれた「持続可能な開発サミット」で採択された行動指針。貧困の撲滅や天然資源の保護などを目指し、2030年までに17の持続可能な開発目標(SDGs)を掲げている。

 SDGSAT-1は、この「2030アジェンダ」が掲げる目標達成のために、科学的なデータを収集することに特化した世界初の科学衛星で、その役割に期待が高まっている。

 SDGSAT-1は、打ち上げから1か月半後の 昨年12月20日、地表の様子を映した画像の伝送に成功した。その画像は、都市や地形が発する赤外線や電磁波の反射など捉えたもので、北京やフランス・パリのような大都市、山東半島やチベット自治区(Tibet Autonomous Region)中部のナムツォ湖(Namtso)など地理的な特徴が観測できた。

 こうした画像データは、社会経済の発展レベルや人々の生活パターンを反映し、人間の活動と自然環境との相互作用の分析に役立つ。地表や海水の温度変化、農地や都市が発する熱エネルギーの分布なども詳細に観測でき、農作物の生育状況や病虫害の発生の有無、エネルギー消費の動向などの分析にも役立てるという。

 中国はSDGSAT-1のそうしたデータを公開するとともに、国連に対して、耕地、森林、マングローブ林の分布など6つの分野での詳細な分析結果を提供するとしている。(c)CNS/JCM/AFPBB News