中国で会員制スーパーが急増 欧米系と中国勢で競争激化
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【11月30日 東方新報】中国で一般的な大型スーパーマーケットが次々と撤退し、会員制大型スーパーが急増している。象徴的なのが、米国のスーパー大手ウォルマート(Walmart)とその傘下の会員制スーパー・サムズクラブ(Sam's Club)だ。一般スーパーのウォルマートは中国で次々と閉店する一方、サムズクラブは各地に進出して売り上げを伸ばしている。
サムズクラブは年会費260元(約5046円)を払った会員が入店できる仕組み。オージービーフ、日本のマスクメロン、東南アジアのナッツ類など世界の食材が集まり、多くの食品で試食が楽しめる。食品のほか日用品や洋服、家電、酒類などを多く取りそろえてオリジナル商品も多く、返品や交換も可能。車で乗り付けた客が大量に商品をまとめ買いをしていく。
ある常連客は「インターネットで同類商品と見比べるとサムズクラブは決して安くないが、安心してまとめ買いできるのが魅力。何よりここにしかない食材やオリジナル商品が多い」と魅力を語る。サムズクラブの会員は400万人を超えている。
会員制スーパーはこの数年で、一気に中国の消費者をひきつけている。米国のコストコ(Costco)が2019年、上海に中国進出1号店をオープン。買い物客が殺到して入場制限を行うほどの人気で、会員制スーパーのブームに火を付けた。
中国の62都市で約100店舗を展開するドイツのスーパー大手メトロ(Metro AG)も、会員制スーパーに戦略の軸足を移している。メトロチャイナの陳志宇(Chen Zhiyu)副CEOは「新規店舗はすべて会員制にする。将来的には中国全土の店舗を会員制に切り替える」と明言している。
このほか、フランスのカルフール(Carrefour)、IT大手阿里巴巴集団(アリババグループ、Alibaba Group)系列の盒馬鮮生(Hema Xiansheng)、同じくIT大手騰訊(テンセント、Tencent)系列の永輝超市(Yonghui Superstores)も会員制スーパーに参入している。
中国では1990年代から会員制スーパーはあったが、広く浸透してこなかった。近年は著しい経済成長によりマイカーを持つ市民が大幅に増え、「いい物を手頃な値段で買いたい」という消費マインドが広がっている。一定の購買力を持ち、生活の質を追求する大都市の中流階層の間で、会員制スーパーの需要が高まった。
市場リサーチ会社の艾媒諮詢(iiMedia Research)によると、会員制スーパーの市場規模は2021年に304億元(約5900億円)に上り、2025年には400億元(約7764億円)規模に達するという。ただ、一般のスーパーを会員制に切り替えたが、客足がむしろ減少している店舗もある。品ぞろえに変化が乏しく、「換湯不換薬(飲み水だけ換えて薬を換えない)」と指摘されている。
小売業アナリストの胡春才(Hu Chuncai)氏は「現在の会員制スーパーの商品は輸入品が多い」と指摘。激しい競争を勝ち抜くためには「中国の食習慣やライフスタイルに合わせ、ローカライズした戦略が必要となってくる」と分析している。(c)東方新報/AFPBB News