【5月22日 東方新報】コロナ禍により3月下旬から厳しい都市封鎖管理が続く中国・上海市。外出できない市民は、インターネットで食品や生活用品を注文している中、さまざまな不正行為も横行している。

 上海で都市封鎖管理が行われている地域では、行政が食品や生活用品を配給しているが、各家庭のニーズを細かくはカバーできていないのが実情だ。ゴミ出しなどをのぞき自宅から出られない市民は、インターネットで宅配を依頼している。

 ただ、注文を受けるスーパーやオンライン業者の配達体制はパンク状態で、個別の注文に対応できない状態だ。そこで、地域や仲間ごとに中国の代表的SNS「微信(ウィーチャット、WeChat)」でグループチャットをつくり、各自の購入リストをまとめて責任者が一括注文する「団体購入」が主流となっている。

 こうした物資入手の難しさが、不正の温床になっているのだ。

 上海市青浦区(Qingpu)で5月上旬、無資格でたばこを販売していた疑いで8人が逮捕された。このグループは4月10日以降、ヤミで大量のたばこを仕入れて配達しており、売り上げは100万元(約1900万円)を超えていた。逮捕者の中には、「団長」と呼ばれる団体購入の責任者もいた。団長が不正をする問題は各地であり、「腹黒団長」という言葉も広まっている。

 宝山区(Baoshan)では、価格を不当につり上げて収益を得ていたとして、4件で8人の容疑者が逮捕された。ひそかに夫婦で精肉店を営んで豚肉を通常価格の2倍で売ったり、スーパー経営者が大量の野菜や魚介類を買いだめして値上げして売ったりしていた。不正な売り上げは4件で計100万元に上るという。

 こうした不正には、それぞれ「ニセ配達員」が絡んでいる。上海市公安局は、臨時通行証やPCR検査証明書の偽造、販売などで16件を摘発し、34人を逮捕した。

 31歳の王容疑者は画像処理ソフトを使って臨時通行証を偽造し、500元(約9500円)で販売していたほか、32歳の鄧容疑者は偽の通行証を購入し、配達の際に使用していたという。

 上海市の感染者はピークを越え、都市封鎖措置は解除されつつあるが、警察は引き続き不正行為の摘発に目を光らせている。(c)東方新報/AFPBB News