【11月28日 AFP】中国各地で27日、新型コロナウイルス感染拡大を徹底的に封じ込める「ゼロコロナ」政策に対する抗議行動が一斉に行われ、主要都市で数百人規模の街頭デモが相次いだ。英BBCは、デモを取材していた記者1人が警察に逮捕され、殴打されたと発表した。

 中国では、突然のロックダウン(都市封鎖)や長期間の隔離、繰り返される大規模検査といった厳格なコロナ対策に国民の不満が募っている。新疆ウイグル自治区(Xinjiang Uighur Autonomous Region)の区都ウルムチ(Urumqi)で24日に火災が起きたが、ロックダウンのため救助活動が遅れて死者が出たと受け止められたことで、政府に対する怒りが噴出した。

 北京では27日夜、少なくとも400人が市内の運河・亮馬河(Liangma River)沿いに集まり、ゼロコロナ政策への抗議と火災の犠牲者追悼を兼ねた集会を数時間にわたって実施。「われわれは皆、新疆人だ。頑張れ中国人民」などと叫んだ。

 人々は検閲への抗議を象徴する白紙を掲げて国歌などを歌い、演説に耳を傾けるなどして28日未明までデモを継続。付近を通る車はクラクションを鳴らしてデモへの支持を表明した。

 警察は対岸に車両を待機させて監視していたが、午前1時45分ごろに道路を封鎖して約100人の警官隊がデモ隊を包囲。15分後に武装警察の車両が到着すると、デモ参加者の大半が急いで現場を離れた。最終的に、警察側がデモ隊の要求を聞き入れたと表明したため、人々は解散に応じた。

■「習近平退陣」叫ぶ

 中国最大の都市・上海では、中心部のウルムチ通りで26日夜から27日未明にかけ、「習近平退陣」「共産党退陣」などと叫ぶデモが行われ、警官隊との衝突に発展した。

 朝までに解散させられたが、午後には白紙と花を手にした数百人が通りに集まり、黙って立ったりスローガンを唱和したりした。

 夕方には警官隊が通りを封鎖し、人々に立ち去るよう指示。AFPの記者は、複数のデモ参加者が逮捕されるのを確認した。匿名で取材に応じた外国籍の目撃者によると、警察はデモを主導した人物を捜しているようだったという。

 一方、BBCは、中国駐在のエド・ローレンス(Ed Lawrence)記者が上海でのデモ取材中に「手錠を掛けられて」逮捕されたと発表。数時間拘束され、殴られたり蹴られたりした後に釈放されたが、「中国当局からは正式な説明も謝罪もない」として懸念を表明した。

 新型コロナ感染が最初に確認された中部・武漢(Wuhan)や、広州(Guangzhou)、成都(Chengdu)といった大都市でも抗議デモが行われ、動画がインターネットで拡散した。

 デモは各地の大学でも行われた。北京の名門大学、清華大学(Tsinghua University)では、200~300人の学生が「民主主義と法の支配、表現の自由」と叫ぶなどした。

 北京大学(Peking University)や、南京(Nanjing)、西安(Xi'an)、広州などの大学では、28日未明にかけてろうそくをともすなどの抗議集会が行われた。(c)AFP/Matthew Walsh, with Laurie Chen and Michael Zhang in Beijing