【11月27日 AFP】国営中国中央テレビ(CCTV)が27日、サッカーW杯カタール大会(2022 World Cup)の中継で、マスクなしで観戦しているファンの姿がアップで映るシーンをカットした。大会開幕当初の放送に対しては、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の厳しい規制に対する中国国民の怒りが噴出していた。

 新型コロナの感染拡大を国内で食い止める政策を掲げているのは、主要経済国では中国のみとなっており、現在でも継続して都市全体や居住区の封鎖が行われ、多くの人々がウイルス検査の義務を課されている。

 この日の日本対コスタリカ戦でCCTVのスポーツチャンネルは、マスクなしで旗を振るファンのアップ映像を、選手や関係者、またはスタジアムの映像と差し替えていた。

 同チャンネルは個人の顔が判別できない遠目からの観客映像は流しており、動画投稿アプリ「ティックトック(TikTok)」の中国版である「抖音(Douyin)」などのオンラインプラットフォームで中継された同じ試合と比較すると、客席の映像を少なくしていた。

 北京や広州(Guangzhou)、重慶(Chongqing)といった大都市は、大騒ぎするW杯の観衆とは対照的に27日の時点で数千万人がロックダウン(都市封鎖)の影響下にあり、中国の多くのSNSユーザーが怒りの声を上げている。

 北京や上海ではこの日、政府の「ゼロコロナ」政策に抗議するために数百人が街頭に立った。国家に対する国民の怒りが目に見える形で表れるのは、中国では珍しい。(c)AFP