ネット注文した商品が平均37分で届く新サービスが中国で人気
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【11月25日 東方新報】中国では、ネット通販の中でも、地元の実店舗とリアルタイム配送を組み合わせた新たなサービスが広がっている。「ウーバーイーツ(UberEATS)」で料理ではなく商品が届けられる様子をイメージしてもらえば分かりやすい。
11月12日10時、北京市朝陽区(Chaoyang)のショッピングモールの営業開始とほぼ同時に、ユニクロ店舗前には、商品を取りに来るオートバイの行列ができていた。開店から5分以内に計8人が商品を受け取ると、オートバイにまたがって出発していった。
そのうちの1人、李(Li)さんは、リアルタイム配送のデリバリースタッフとして3年間働いているという。以前はほぼ全てがレストランの注文だったが、最近は洋服などの商品の注文が増えているという。中国のネット大セール「双11(ダブル11)」では、連日3、4件は食品以外の注文を受けていると明かした。
ダブル11(中国語で「双11」)とは、暦の上で「1」が4つ並ぶ11月11日前後に、パートナーのいない独り身たちが「自分へのごほうび」を買うネットセールとして始まり、近年は国民的一大セールに発展している。ユニクロ(Uniqlo)前に集まった李さんたち配送スタッフは、前日の11日までに発注があった洋服などの商品をショッピングモールの実店舗で受け取って、顧客に届けているわけだ。
「ここ数年、コロナ、ライブ配信、ショート動画などによって、リアルタイム配送市場は新たな需要を生み出し、中小企業や個人消費者の注文が大きく持ち直している」。リアルタイム配送大手のUU跑腿の創業者兼会長の喬松涛(Qiao Songtao)氏が語る。UU跑腿は同じ都市内なら注文してから平均37分で商品を配送するサービスが当たり、2021年のリアルタイム配送の受注件数が、前年比32.9%増の279億件に達し、2022年は前年比36.4%増の380億7000万件に達すると予想されている。
とにかく速いリアルタイム配送が人気を集める背景には、新型コロナウイルス禍による小包物流の停滞も背景にある。
コロナ前でもダブル11の後は大量の小包が発送され、消費者の手元に届くまでに通常より数日は時間がかかっていた。コロナ禍による影響も重なってダブル11を待って格安で商品を注文しても届くまでに、数日から数週間の日数がかかってしまう事態になっている。
物流の停滞を回避するための苦肉の策として、ダブル11では商品やサービスの引換券を販売し、必要になった時点で顧客に引き換えてもらう前売り券方式も広がっている。中国メディアによると、今年の「ダブル11」では、30万枚以上の航空券、約190万枚の高級ホテル宿泊パッケージや45万枚以上のテーマパーク前売り入場券、50万枚以上の観光スポットチケットが販売されたという。
だからと言って、商品のネット通販が冬の時代に入ったというのは早計だ。むしろコロナ禍をきっかけに、ネット通販の業態が多様化し、実店舗を巻き込んだ多様な注文・配達方法が定着しつつあるとみる方が自然だろう。
中南財経政法大学(Zhongnan University of Economics and Law)デジタル経済研究所の金天(Jin Tian)上級研究員は「(リアルタイム配送の)現在の収益源は、消費者や加盟店向けの配送サービスが中心だが、将来的には、より幅広いサービスを提供できる可能性がある」と話す。中国のネット通販に次々と生まれる新サービスから目が離せなくなりそうだ。(c)東方新報/AFPBB News