モロッコの酒場 映画『カサブランカ』へのオマージュ 公開から80年
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【11月26日 AFP】今も愛され続けているハリウッド(Hollywood)映画『カサブランカ(Casablanca)』が、初めて銀幕に登場して今月で80年を迎えた。この映画へのオマージュとして米国の元外交官が北アフリカ・モロッコに開いたバーには、絶えず観光客の姿がある。
映画の舞台は、第2次世界大戦(World War II)中、ナチス・ドイツ(Nazis)に協力的だった仏ビシー(Vichy)政権統治下のモロッコの港町カサブランカ。ハンフリー・ボガート(Humphrey Bogart)演じる米国人のリック・ブレイン(Rick Blaine)は、自身が営んでいた酒場で、イングリッド・バーグマン(Ingrid Bergman)扮(ふん)するかつての恋人イルザ・ラント(Ilsa Lund)と再会する。
撮影当時のモロッコはビシー政権下にあったため、マイケル・カーティス(Michael Curtiz)監督はカリフォルニアのワーナー・ブラザース(Warner Brothers)のスタジオですべての場面を撮影した。
1942年11月26日の公開からわずか数日後、カサブランカは連合国軍の北アフリカ上陸作戦に参加した米軍によってビシー政権から奪還された。
それから数十年後の2004年。米国の元外交官キャシー・クリーガー(Kathy Kriger)さんは、劇中でリックが営んでいたバーを再現した店「リックズ・カフェ(Rick's Cafe)」をカサブランカでオープン。たちまち観光客の間で人気を呼んだ。
カナダのバンクーバー(Vancouver)から来たという女性は「ここで撮影したわけでないことは知っていましたが、絶対に来なければと思いました」と語った。「ここでしか味わえないノスタルジックでロマンチックな体験。一生に一度は見ておきたい場所です」
店長でピアニストのイッサム・チャバさんは、「映画に出てくるバーをそっくりそのまま再現しているのではなく、作品の精神を忠実に再現しています」と話した。
作品の中で「アズ・タイム・ゴーズ・バイ(As Time Goes By)」の演奏に使用されたものに似たピアノも置かれている。
アイルランドから訪れていた男性とその一行は映画マニアではないと言いながら、この映画のせりふは暗唱できると胸を張り、リックをまねて「僕たちにはいつでも思い出のパリがある」と声を合わせた。(c)AFP/Kaouthar OUDRHIRI