【11月17日 AFP】インドネシアで開催された20か国・地域首脳会議(G20サミット)で中国の習近平(Xi Jinping)国家主席がカナダのジャスティン・トルドー(Justin Trudeau)首相を叱責する様子がカメラに捉えられた。首脳間のこうした言動が公になることはまれで、すでに冷え込んでいる両国関係が悪化する恐れもある。

 G20サミット会場で16日に撮影された1分ほどの動画では、会談の詳細がメディアにリークされたことについて、習氏がトルドー氏に対して説教していたように見えた。

 トルドー氏は15日の会談で、カナダ国民に対する中国の「干渉」があるとして議題にした。カナダ政府は先に、中国政府がカナダの民主主義や司法システムに介入していると非難していた。この日は両氏にとって2019年以来の直接会談だった。

 16日の動画では、習氏は通訳を介してトルドー氏に「われわれが話したことは全て新聞にリークされている。不適切だ」と言い、「そうした形で議論がなされたわけではない」と続けた。

 習氏はさらに「誠意があるなら、お互いを尊重する姿勢に基づいた対話ができる。さもなければ、予測不能な結果となるだろう」と警告した。

 こう言って立ち去ろうとした習氏に、トルドー氏は「カナダでは、自由で開かれた、率直な対話が重んじられる。これからもそうした対話をしていく」と返し、「建設的に協力することを目指すが、相いれないこともある」と述べた。

 習氏は手を上げて話を遮り、「条件を整えよう」と繰り返し、笑顔をつくると、トルドー氏とほとんど目を合わせずに握手をしてその場を立ち去った。

 会話が撮影されていることに、習氏が気付いていたのか、またはいつ気付いたのかは分かっていない。

 中国外務省は17日、両国首脳にとってこうした会話は「通常の」ものであり、「習近平(国家主席)が誰かを批判したり責めたりしていると解釈されるべきではない」として、火消しを図った。(c)AFP