【10月28日 AFP】カナダの国家警察に当たる王立カナダ騎馬警察(RCMP)は27日、国内に中国が法的に認められない「警察署」を設置し、同国に居住する中国人を悩ませているとの通報を受け捜査していると発表した。

 複数の現地メディアが今週、スペインの人権団体「セーフガード・ディフェンダーズ(Safeguard Defenders)」の報告を引用し、世界各地に54の「警察署」があり、カナダのトロント都市圏にも3か所設置されていると報じていた。

 中国は違法行為を否定し、こうした施設は国外在住の中国人に運転免許の更新などのサービスを提供しているだけだと主張している。

 RCMPはAFPの取材に電子メールで回答。いわゆる「警察署」に関連した犯罪行為の報告について捜査しているとして、「RCMPはカナダ居住者の安全に対する脅威を極めて深刻に受け止めている。外国がカナダ国内のコミュニティーや個人を脅迫したり危害を与えたりする可能性があることを認識している」と述べた。

 セーフガード・ディフェンダーズによると、中国警察はこうした「警察署」を利用して外国で警察活動を実施。刑事責任を問うために中国人を帰国させるべく圧力をかけている。

 同団体が9月に発表した報告書によると、「警察署」は標的の追跡も行っており、中国政府が認めているよりも「はるかに悪質で完全に違法な目的を遂行している」。2021年4月~22年7月には、外国在住の標的または中国国内に残るその家族を脅迫したり、嫌がらせをしたりすることで、主にアジア諸国から計23万人を帰国させたとされる。

 在カナダ中国大使館は「警察署」について、「中国の警察官ではなく現地のボランティア」が勤務し、運転免許更新の際の視力検査などを補佐していると説明。「犯罪捜査や関連活動には一切関与していない」と述べた。(c)AFP