【11月27日 AFP】米小売り・IT大手アマゾン・ドットコム(Amazon.com)は今月、米マサチューセッツ州ボストン(Boston)郊外にあるロボティクス(ロボット工学)研究拠点「BOS27」で最新鋭のロボットが商品を注文通りに器用に仕分ける様子を公開した。

「スパロー(Sparrow)」と名付けられたこのロボットは、近い将来、全米で数十万人の従業員が行っている年間約50億個の商品の仕分け・発送作業をこなすようになるとみられている。

 一方で、こうしたロボットが開発されることで、いずれはアマゾンの倉庫内の作業が機械化され、大規模な人員削減が実施されるのではないかと労組関係者は懸念している。

 だが、ロボティクス部門の責任者タイ・ブレイディ(Tye Brady)氏は報道関係者向けの公開ツアーで、こうした懸念を一蹴。「人の代わりを務めるロボットではありません」とし、「ロボットと人が作業を共同で行うために協力しているのです」と説明した。

 カメラと円筒状のチューブを搭載したスパローは、形状や大きさが異なる数百万点の商品から目的の商品を探し出す。ベルトコンベヤーで運ばれてくる品物を丁寧に吸い上げ、ロボットアームで適切なカートに振り分けていく。

 アマゾン・ロボティクスの副社長ジョー・クィンリバン(Joe Quinlivan)氏によると、同社が全米で扱っている年間約50億個の宅配商品の約75%は、発送までの段階でロボットが何らかの作業に関わっている。

 一般的には数十年前から、機械による自動化が進むと雇用が大幅に奪われると考えられてきた。

 現在は複数の研究調査で、eコマース(電子商取引)産業では需要が大幅に拡大していることから、短中期的には機械化への移行が大量の失業をもたらすことはないと考えられている。

 だが米カリフォルニア大学バークレー校労働研究センター(The Center for Labor Research and Education, UC Berkeley)は2019年の研究で、一部のテクノロジーによって手間のかかる作業が軽減される可能性がある一方、仕事量が増え、作業のペースが加速する恐れもあると指摘。

 さらに、技術の進歩によって「労働者を監視する新たな手法」が導入されるかもしれないと警告している。(c)AFP/Ana FERNÁNDEZ