【11月11日 AFP】米ツイッター(Twitter)のセキュリティー部門統括責任者が10日、辞任を表明した。実業家イーロン・マスク(Elon Musk)氏が買収し刷新を試みる中、ツイッターでは偽アカウントが急増。米規制当局から異例の警告を受けるなど、混乱が広がっている。

 レア・キスナー(Lea Kissner)最高情報セキュリティー責任者(CISO)は、「ツイッターを去るという難しい決断をした」とツイートした。同氏の他にも、プライバシー保護部門やセキュリティー部門で複数の主要幹部が辞任したと報じられている。

 米メディアによると、信頼性と安全性を担当する責任者のヨエル・ロス(Yoel Roth)氏は、コンテンツモデレーション(投稿管理)機能は維持されているとするマスク氏の主張を強く擁護するコメントを広告主向けに発表した翌日に辞任した。

 一方、広告主との関係を統括する責任者で、社内でマスク氏を支持しているとみられていたロビン・ウィーラー(Robin Wheeler)氏も退職が報じられたが、同氏は10日夜、「私はまだここにいる」とツイッターに投稿した。

 ツイッターは買収後、青いチェックマークの認証バッジを月額7.99ドル(約1100円)で取得できるサブスクリプション(継続課金)型サービス「ツイッター・ブルー(Twitter Blue)」を発表。その後、一部の著名アカウントについて灰色の「公式」バッジを導入したが、これはマスク氏によって直後に廃止された。

 この混乱は有料サービスの開始に影を落とし、マスク氏の対応は批判を浴びている。

 有料サービスは現在、米アップル(Apple)のiPhone(アイフォーン)向けアプリを対象に米国内でのみ展開されている。ただ、サービス導入後、米プロバスケットボール協会(NBA)のスター選手レブロン・ジェームズ(Lebron James)さんや、トニー・ブレア(Tony Blair)元英首相といった著名人に成り済ました偽アカウントが急増した。

 こうした混乱をめぐり、消費者の安全を監督する米連邦取引委員会(FTC)は、「強い懸念を持ってツイッターの最近の動向を追っている」と発表。過去のセキュリティーやプライバシーの侵害をめぐる同意命令に従うよう、異例の警告を発した。(c)AFP