■略奪品を自宅に発送か

 2月24日の侵攻開始以来、ロシア軍占領地での略奪疑惑は枚挙にいとまがない。一部の素行不良者による仕業ではなく、組織的な犯行であることがうかがえる。

 ウクライナ当局は、将来ロシアから戦争賠償金が支払われた際に、補償が受けられる可能性があると期待する個人や企業からの申し立てを記録している。

 ベラルーシの調査報道グループ「ハユン(Hajun)」は4月、ウクライナとの国境の町マズィル(Mazyr)の小包配送所から、ロシア兵が自宅に多数の荷物を送っている様子を捉えた3時間以上に及ぶ防犯カメラ映像を公開した。荷物1個の重さは50~450キロで、計2トン以上の荷物が発送された。

 警察署は本部が破壊され、今は仮設の建物に入っているが、略奪被害の申し立てはすべて受理されている。だが目下、増え続ける申し立てを処理する人員が不足しているという。

 ある警察関係者はAFPに対し、「占領後の申し立ての数は膨大だ」と語った。しかし、補償される望みが薄いにもかかわらず、器物損壊の申し立ても寄せられており、正確な件数は把握できていないとしている。

 略奪されているのは、主に農業機械や車、穀物、家電製品などだ。ある農場では、「食べるためなのか、豚まで連れて行かれた」という。

 ロシア軍が家という家に入り、「テレビ、モニター、コンピューター…それに浴室の部品や暖房用のラジエーターまで持ち去った」と明かした捜査官は、「何のために盗むのか、全く分からない。故郷にこういう物がないのかもしれない」と皮肉った。(c)AFP/Daphne ROUSSEAU