マリで誘拐されたタイ人美容外科医、解放後に体験語る
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【10月28日 AFP】西アフリカのマリで誘拐され、3週間後に解放されたタイの美容外科医ノッパラット・ラッタナワラーさん(49)が27日、テレビ番組のインタビューに応じ、池の水を飲んで生きながらえたと拘束生活を振り返った。
ノッパラットさんは、旅先で撮影した動画を投稿するユーチューブ(YouTube)チャンネルを持っており、人気を集めている。身代金15万ドル(約2200万円)が支払われたと報じられている。
解放後、帰国した翌日には職場に戻った。
ノッパラットさんによると、車でブルキナファソからマリに移動中に誘拐された。運転手とガイドが一緒だったという。
車の中で寝てしまったが、目が覚めると銃を持った5、6人の男に囲まれていることに気付いた。「映画のようだった。男たちが何を言ってるのかは分からなかった」と振り返る。
ノッパラットさんはテレビ局チャンネル3(Channel 3)に対し、「ひざまずき、手を背中に回すよう言われ、目隠しをされた」と語った。その後、人里離れた場所に連れて行かれた。
「男たちは攻撃的ではなく、私に危害を加えることもなかった。感じのいい話し方だった」
ただ、食料や水は限られていた。「なんでも食べなければならなかった。水がなければ池の水を飲んだが、油のにおいがすることもあった」と述べた。
プラスチック袋に入れたお手製のサバイバルキットが役に立ったという。蚊よけアームバンドやタイで人気の嗅ぎ薬が入っていた。
誘拐されてから3週間目、携帯電話で母親と恋人と話すことが許された。2人は誘拐犯から身代金を要求された。
誰が身代金を払ったかは不明だが、タイ警察と外務省がノッパラットさんの帰国を支援した。
自分では誘拐された体験がすぐにトラウマになるとは思っていなかったが、専門家のカウンセリングが必要だと今は思っている。「今は笑っているが、直前まで泣いていた」と語った。
国連(UN)は最近、マリ、ブルキナファソ、ニジェールで平和維持軍や市民が武装集団に襲撃されるなど治安状況が「不安定」になっており、対応を求めていた。(c)AFP