【10月9日 AFP】西アフリカのマリで2016年にイスラム過激派とみられる武装集団に拉致され、人質となっていた援助活動家のフランス人女性ソフィー・ペトロナン(Sophie Petronin)さん(75)ら4人が、無事解放された。マリ政府が8日発表した。

 解放されたのはペトロナンさんの他、マリの著名政治家スマイラ・シセ(Soumaila Cisse)氏(70)、イタリア人のニコラ・キアッキオ(Nicola Chiacchio)さんとピエル・ルイジ・マッカーリ(Pier Luigi Maccalli)さん。

 ペトロナンさんとシセ氏は8日、マリの首都バマコに到着し、家族と感動の再会を果たした。

 エマニュエル・マクロン(Emmanuel Macron)仏大統領は、ペトロナンさん解放の一報を受け、「計り知れない安堵(あんど)」をツイッター(Twitter)上で表明。フランス帰国の際には、自ら出迎える意向を示した。ペトロナンさんは、世界で人質として拘束されていることが判明しているフランス人としては最後の一人だった。

 マリ政府は先週末、収監していた過激派100人超を釈放しており、捕虜交換でペトロナンさんとシセ氏が解放されるのではないかとの臆測が広がっていた。だが、キアッキオさんとマッカーリさんの解放は予想されていなかった。

■「ママ・ソフィー」

 ペトロナンさんは「ママ・ソフィー(Mama Sophie)」の愛称で知られ、栄養失調に苦しむ子どもたちの援助活動に長年従事してきた。2016年12月24日にマリ北部ガオ(Gao)で活動中に武装集団に拉致され、拘束下でやつれた様子の動画が2018年に公開されたことで、健康状態が心配されていた。

 解放後、記者会見したペトロナンさんはマリ・フランス両政府の尽力に感謝を表明。「マリのために私は祈り、アラーの祝福と慈悲を切に願います。私はムスリムですから」と述べ、「皆さんは(私を)ソフィーと呼びますが、あなたがたの前にいるのはマリアムです」とイスラム名を名乗った。

 シセ氏はマリ野党の元党首で、大統領選に3回出馬した経歴を持つ。今年3月25日、議会選に向けて地元の中部ニアフンケ(Niafounke)で選挙運動中に拉致された。解放されたシセ氏は「困難な期間だったが、乗り越えた」とAFPに語った。

 伊メディアによると、マッカーリさんは聖職者で、2018年に隣国ニジェールで拉致された。また、キアッキオさんは昨年、自転車で一人旅中にマリ北部で行方が分からなくなっていた。(c)AFP/Serge Daniel