【10月27日 東方新報】中国で「スマートフォンの容量が足りない」という話題が、SNS「微博(ウェイボー、Weibo)」の検索ワードでランキング入りした。「64GB(ギガバイト)ではまったく足りない」「スマホを使い始めて数か月で128GBの容量がいっぱいになった」という書き込みが相次いでいる。

 多くのスマホメーカーは64GBの製品を生産ラインから外し、フラグシップモデルを128GBから販売するのが主流。1000元(約2万382円)程度の格安スマホが、64GBから発売している程度だ。米アップル(Apple)や中国メーカーの華為技術(ファーウェイ、Huawei)、努比亜(Nubia)、中興通訊(ZTE)などは容量1TB(テラバイト=1000GB)の製品を販売している。

 中国のスマホで最も多く容量を使うと言えば、日本で「中国版LINE(ライン)」と言われているアプリ「微信(ウィーチャット、WeChat)」だ。文章でチャットしたり無料電話をしたりという機能はLINEと同じだが、スタンプは無料かつ動画タイプが多く、小規模アプリをまとめた便利な「ミニプログラム」機能が発達。ちょっとしたお祝い事ですぐ紅包(ご祝儀)を渡す習慣を反映し、送金機能も充実している。「今の中国人は財布を持たない」と言われるように、日ごろの支払いで使うことも多い。中国に駐在する日本人サラリーマンも飲み会の計算で「1人238元(約4851円)なので、皆さん私の微信に送金してください」というように活用している。生活の多くの面に浸透している分、微信に使う容量も多くなる。

 微信以外に使うアプリとしては、検索アプリなら「百度(Baidu)」、知識に関する質問なら日本のヤフー知恵袋に当たるような質問サイト「知乎(Zhihu)」などが定番だったが、海外でティックトック(TikTok)として知られるショート動画投稿サイト「抖音(Douyin)」、中国版インスタグラム(Instagram)とも言われる「小紅書(Red)」など、「映える」アプリも急増。さらにネット出前サービス「美団(Meituan)」やタクシー配車サービス「滴滴出行(Didi Chuxing)」など生活に欠かせないアプリが増えている。しかも各アプリが激しい競争に負けないよう、ビデオや買い物機能を充実させているため、スマホの容量はますますかさんでしまっている。

 中国工業情報化省の最新データによると、8月の1人当たりデータ通信量は前年同月比10.7%増の15.2GBに上っている。スマホメーカーはユーザーの悩みに対応するため「ストレージ圧縮サービス」をPR。重複ファイルを整理し、使用頻度の低いアプリを圧縮することで最大で20GBの容量を節約するなどしている。また、スマホ端末の動画や写真、音楽をクラウドにアップするサービスも充実。消費力旺盛な中国市民から見捨てられないよう、各メーカーがしのぎを削っている。(c)東方新報/AFPBB News