【10月19日 東方新報】中国で「親子楽園」と呼ばれる遊戯スペースが人気となっている。都市部に住む中流階級の0~12歳の子どもと親をターゲットにした施設だ。ショッピングモールなどに4000〜8000平方メートルのレジャースペースを設ける「奈爾宝(Neobio)」や、屋外アスレチック施設の「兔窩窩」、かわいいファンタジーなデザインで遊具を統一した「Meland club」、日本のイオン(Aeon)グループ系列のアミューズメント施設「モーリーファンタジー(Molly Fantasy)」など、多くの企業が独自のコンセプトで各地に進出している。小動物とのふれあいパークや、自然の森林を模してアウトドア体験ができるレジャースペースなど、教育的要素を取り入れた施設もある。

 3歳の息子がいる北京市豊台区(Fengtai)の楊(Yang)さんは毎週末、いろいろな親子楽園を訪れている。「家にいるとつい、子どもにスマホやゲームを触らせてしまう。子どもから電子製品から遠ざけるのに親子楽園はピッタリです」と話す。

 北京市大興区(Daxing)の李(Li)さんは「屋外の親子楽園はコロナ禍でも安心して子どもを遊ばせることができます。最近は新型コロナもあまり心配ないので、屋内施設も使っています。入園料や遊戯使用料で毎月2000元(約4万1420円)前後、年間で2万元(約41万4208円)使っています」と語る。

 中国テーマパーク研究所は「親子楽園が人気なのは、子どもにとって魅力的なだけでなく、『母親の解放』という要因も大きい」と指摘する。ジェットコースターのような動力遊戯がない児童楽園は子どもを安全に遊ばせることができ、子どもが転んで泣きだしたような時も近くで見守る母親がすぐ駆けつけられる程度の広さ。施設によっては教育的機能もある。日ごろ長い時間を育児に費やし、子どもの教育に神経を使う母親にとって、児童楽園は子どもを安心して自由に遊ばせる空間となっている。

 中国では昨年夏以降、児童・生徒の宿題と塾通いの負担を減らす「双減政策」が導入され、就学前の幼児に対する早期教育も制限している。日本では「中国版ゆとり教育」とも言われており、勉強漬けとなっていた子どもに自由な時間が生まれたことが、親子楽園に足を運ばせるきっかけにもなっている。中国メディアは「親子楽園はポストコロナと双減政策を象徴している」と指摘している。(c)東方新報/AFPBB News