■「声を封じようとする」業界

 だが、誰もがインティマシー・コーディネーターを歓迎しているわけではない。

 俳優のクリスティナ・リッチ(Christina Ricci、42)は同じくバラエティ誌のインタビューで、性的な場面の撮影に不快感を覚えていることを制作サイドに伝えたところ、「やらなければ訴える」と脅された経験があると明かした。

「2017年になって突然、俳優たちが声を上げ始めたわけではなく(中略)私たちはそれ以前から意見していた」とウォーデン氏。「業界には、そうした声を封じようとする動きがあった」

 撮影の際、俳優は同意権にこだわるなと言われ、「ノー」と言うのは「危険」だと諭されることも多いと話す。

「(権利を要求すれば)気難しくて要求の多い俳優だと思われ、仕事がもらえなくなるという思い込みが芸能界にはある」

 だが、ティックトック(TikTok)でインティマシー・コーディネーターの仕事について語り、50万人のフォロワーを持つジェシカ・スタインロック(Jessica Steinrock)氏は、自分たちの仕事はスタント・コーディネーターと同じように撮影時の俳優へのリスクを減らし、より良い演技を引き出すためものだと主張する。