【10月15日 AFP】人権活動家チャールズさん(仮名)は、中国で市民社会が花開き、肉体労働者の生活改善のために打ち込んでいた頃のことを今も忘れていない。

 だが、3期目が確実視される習近平(Xi Jinping)主席が率いてきたこの10年で、さまざまなコミュニティーの団体は解体され、再生の希望は打ち砕かれた。

 チャールズさんは中国を離れ、活動家の友人数人は今も当局に拘禁されている。

「2015年以降、市民社会全体が崩壊し始め、ばらばらになってしまいました」

 中国の市民運動や新興の独立系メディア、学問の自由などはことごとく破壊された。中国共産党に対するあらゆる脅威を排除しようと、多くのNGO職員、人権派弁護士、社会運動家が脅迫を受け、当局に拘束されるか国外に追放された。

 LGBTQの権利向上に携わるNGOの職員は、「団体の資金・運営面、あるいは個人のレベルでも、私たちはますます無力になっています」と匿名を条件にAFPに語った。

 AFPは習政権下での市民社会の崩壊について、活動家や知識人にインタビューした。

■「709事件」と外国NGOへの規制

 2015年に300人以上の弁護士や人権活動家が逮捕された弾圧は、開始された7月9日にちなんで「709事件」と呼ばれている。人権団体によると、今も多くの弁護士が拘束されるか監視下に置かれ、弁護士資格を剥奪された人々もいる。

 もう一つ大きな転換点となったのは、2016年に採択されたいわゆる海外NGO管理法だ。同法により、中国国内で活動する外国のNGOを取り締まる広範な権限が警察に与えられた。

 報復を恐れて匿名を条件に取材に応じた環境NGOの職員は、「2014年には横断幕を掲げて抗議活動を行ったり、科学的調査を行い、国内メディアと協力して環境汚染を暴露したりすることができた」が、「今は何をするにも警察への事前の届け出が必要です。プロジェクトは政府機関と協力しなければなりませんが、それはいわば監督委員会のようなものです」と語った。