【10月1日 AFP】(更新)モロッコが独スポーツ用品大手アディダス(Adidas)社に対し、「文化的遺産」を盗用したとして、サッカーアルジェリア代表の新しい練習用シャツのデザイン取り消しを求めていることが、29日、弁護士による書簡で明らかになった。

 モロッコ人のムラド・エラジュティ(Mourad Elajouti)弁護士は、同国の青年・文化・通信省の代理として、彩り豊かなモロッコの陶器のデザインによくみられる「ゼリージュ」という幾何学模様が、アルジェリア代表の練習用シャツに確認できると述べた。

 エラジュティ氏は、アディダス社のカスパー・ローステッド(Kasper Rorsted)最高経営責任者(CEO)に宛てた書簡の中で、モロッコ側がゼリージュの「芸術性から着想を得た」と主張するアルジェリアの練習用シャツを2週間以内に取り下げるよう要求。同弁護士は、AFPが確認したこの書簡のコピーの中で「文化の盗用と、モロッコのある種の文化遺産を盗もうとする試み」だと非難していた。

 アディダス社は23日、2022-23シーズンにおけるアルジェリアの新しい練習用シャツの写真をツイッター(Twitter)に投稿し、「文化と歴史から着想を得た」と説明していた。同社によれば、そのデザインは同国北西部トレムセン(Tlemcen)のミシュワール宮殿(Mechouar Palace)からインスピレーションを得たという。

 モロッコとアルジェリアは、係争地・西サハラ(Western Sahara)をめぐって長く対立。アルジェリア側が支援する西サハラ独立派武装組織「ポリサリオ戦線(Polisario Front)」は、モロッコによる実効支配からの独立を目指している。

 アルジェリアは昨年8月、モロッコから「敵対行為」を受けたとして国交の断絶を発表したが、同国側はこの措置について「完全に不当」と述べていた。(c)AFP