【9月27日 People’s Daily】中国南部沿海に位置する広東省(Guangdong)広州市(Guangzhou)の上空から眺めると、繁華街の端に中国で最も歴史ある植物学研究・植物保護機関の一つである中国科学院(CAS)華南植物園がある。熱帯雨林から高山植物に至るまで、珍しい草花、果樹から、砂漠に生える植物に至るまで、すべてがそろっている。

 2022年7月11日、この植物園は「華南国家植物園」という新たな名称を得た。これは、北京国家植物園に次ぐ、中国が設立した2カ所目の国家植物園となる。

 中国科学院華南植物園を母体として、華南国家植物園は世界の熱帯・亜熱帯地域の植物の科学的研究、種の保存・育成、科学的普及、資源の活用を目的としている。総計319ヘクタールの計画面積を持つ同植物園には、現在、38の専門園、1万7168の分類群の生息域外保全植物があり、生息域外保全の面で華南地区のすべての植物種を網羅している。園区には3つの研究センター、1つの植物サンプル館、2つの国家級フィールドステーション、3つの中国科学院の重要実験室等の科学研究プラットフォームを有し、国家希少・絶滅危惧植物生息域外保全センター、遺伝資源バンクも併設している。

 園内の希少・絶滅危惧植物繁殖センターでは、植物ごとに看板が掲げられている。華南植物園園芸センターの副主任、シニアエンジニアの寧祖林(Ning Zulin)氏は、植物園に新たに入ってきた植物には、その植物のファイルが作成され、全ライフサイクルにおいて適切な管理がなされると語った。

 華南植物園のスタッフの長年の努力により、個体数回復に向かっている植物も少なくない。紹介によると、華南国家植物園には、現在、643種の希少・絶滅危惧植物、337種の国家重点野生保護植物があるという。園内では、希少・絶滅危惧植物の復帰に関する研究・試験的実践が行われており、華南エリアの希少・絶滅危惧植物36種の野生復帰に成功している。また、園内の植物サンプル館には、現在4万9000種以上の115万点を超えるコレクションが収蔵されている。

 今後、華南国家植物園は、植物多様性生息域外保全・利用実験プラットフォーム、国家自然教育・生態文明モデル基地等を建設し、植物の科学研究能力と科学普及教育能力のレベルを高めていく。同時に、嶺南の庭園文化の特色を反映する国際一流の専門園と特色ある植物展示区を建設し、国際基準と国情に合致する国家植物園の管理運営メカニズムを模索する。

「今後、華南国家植物園は世界と中国の植物多様性保全行動計画に参加し、約6000種の経済植物を含む2万種以上の種の保存・育成を達成し、園内で華南の希少・絶滅危惧植物の95%の生息域外保全を行う計画だ」と、華南植物園の任海(Ren Hai)主任は語った。

 華南植物園は、広州の自然保護地システムの構築の継続的な改善と、生物多様性保全の効果の高まりの縮図と言えるだろう。数十年の努力を経て、広州にはさまざまなレベル・タイプの、多様な機能を持つ自然保護地が数多く建設された。現在、あらゆるレベル・タイプの自然保護地が89か所あり、それらの総面積は約11万ヘクタールにも及ぶ。(c)People’s Daily/AFPBB News