■「まるで溺れているよう」

 取材に応じた教員によると、大量出血している7歳の息子がいる教室に入れてくれるよう母親が兵士に懇願したところ、兵士は「撃ち殺されたいのか?」と怒鳴った。

 男の子は片手と片脚を失っており、出血がひどく「まるで溺れているようだった」という。

 その後、母親は瀕死(ひんし)の息子と再会できた。母親を見た男の子は「お母さん、すごく痛いよ。殺して、殺して、我慢できないぐらい痛い」と訴えた。

 教員によると男の子は亡くなったが、兵士らは、まだ生きているので病院に連れて行くと言い張った。母親は泣きながら「私の坊やのお葬式をさせて」と懇願した。

 教員はその後、兵士らが子どものちぎれた体の一部や血まみれの服を米袋に放り込むのを見た。

 同じく電話取材に応じた別の教員は、ヘリが近づいてくるのを見ると子どもらを校舎内に避難させたが、校舎で大きな爆発が起きたと語った。

「男の子が一人撃たれた。助けてと叫んでいた。血まみれで、叫び続けていたが、助けに行く勇気が私にはなかった」

 銃撃が続いたため、子どもたちを校舎の外に避難させることにし、20人を大きなタマリンドの木の下に隠れさせた。この間もけがをした男の子は叫び続けていた。

 これらの証言について、AFPは独自に確認を取れていない。

■軍は反政府勢力を非難

 レエコーン村の住民の多くは、襲撃事件後行方不明になっている子どもの情報を不安に思いながら待っている。

 現時点で学校再開のめどは立っていない。生徒約250人と教員20人がいた。

 軍事政権は、この地域で少数民族武装勢力「カチン独立軍(KIA)」の戦闘員と地元の反政府武装勢力が武器を移動させているとの情報提供があったため、ヘリで派兵したと説明している。

 軍は反政府勢力が民間人を人間の盾として利用したと非難し、村から地雷や爆発物を押収したとしている。

 軍政は「治安部隊は負傷者に必要な治療を施し、近くの病院へ搬送する手配をした」と声明を出した。(c)AFP