八方ふさがりのロヒンギャ難民 弾圧による大量避難から5年
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【9月3日 AFP】バングラデシュにあるロヒンギャ(Rohingya)難民キャンプの学校で、モハマド・ユスフさん(15)は毎朝、ミャンマー国歌を歌っている。
仏教徒が多数を占めるミャンマーで国軍が少数派イスラム教徒ロヒンギャを迫害し、大規模な難民流出が始まってから8月25日で5年を迎えた。少なくとも数千人が軍に殺害されたとみられ、ユスフさん一家をはじめ、74万人以上がバングラデシュに逃れた。
不衛生なキャンプで暮らすユスフさんら大多数のロヒンギャの子どもは、教育を受ける機会をほとんど与えられてこなかった。子どもたちに教育を受けさせれば、帰還がすぐには実現しそうにないと認めることになりかねないとバングラデシュ政府が懸念したためだ。
昨年のミャンマーの軍事クーデターによって、ロヒンギャ帰還の見通しはいっそう遠のいたとみられており、バングラデシュ政府は今年7月にようやく、国連児童基金(ユニセフ、UNICEF)に対し、ロヒンギャの子ども13万人に教育を受けさせる計画を許可した。いずれは難民キャンプにいる子ども全員に教育の機会が提供される見込みだ。
だが、バングラデシュ政府は今なお、ロヒンギャ難民の帰還を望んでいる。そのため授業はミャンマーのカリキュラムに沿ってビルマ語で行われ、さらに毎日始業の際にミャンマーの国歌を子どもたちに歌わせている。
オランダ・ハーグ(Hague)の国際司法裁判所(ICJ)では、ミャンマー国軍のロヒンギャへの弾圧がジェノサイド(集団殺害)に当たるかどうかを審理する裁判が行われている。だが、ユスフさんはミャンマー国歌を大事にしていると言う。
「ミャンマーは私の祖国です」とユスフさん。「この国にひどい目に遭わされたわけじゃない。ひどいことをしたのは、権力を持った人たちです」
妹はミャンマーで亡くなり、同胞は虐殺されたと話す。「それでも、自分の国なのです」と続けた。
夢は航空関係のエンジニアかパイロットになることだ。「いつか世界中を飛び回りたい」と話した。