【9月8日 AFP】国連(UN)は7日、ロシアがウクライナの子どもを強制的に連れ去り、ロシア人の養子にしている疑いが取り沙汰されていることについて、信ぴょう性が高いとの見解を示した。

 国連人権担当事務次長補のイルゼ・ブランズ・ケフリス(Ilze Brands Kehris)氏はウクライナに関する安全保障理事会(UN Security Council)の会合で、「保護者がいない子どもがロシアの占領地や本国に強制的に移送されているとの主張は信ぴょう性が高い」と述べた。その上で「ロシア当局が保護者がいない子どもに対する国籍付与手続きを簡略化し、ロシア人家庭に養子縁組させる事態を懸念している」と語った。

 また、ロシア軍は占領地でウクライナ人を「選別」し、「多数の」人権侵害を行っているとも指摘。着衣を脱がされての身体検査や、経歴や家族関係、政治信条、ロシアへの忠誠心などに関する詳細な尋問、携帯端末の検査、個人情報の取得、写真撮影、指紋採取といった事例が確認されていると説明した。

 ウクライナ政府や軍に近いと判断された結果、拷問を受け、ロシア国内の流刑地や収容所に強制移送された事例もあるという。ブランズ・ケフリス氏は、「特に懸念されるのは、女性や少女が『選別』中に性的虐待を受ける恐れがあることだ」と述べた。

 これに対し、ロシアのワシリー・ネベンジャ(Vasily Nebenzya)国連大使は「事実無根だ」と反論。「(ウクライナ人は)犯罪的な政権から身を守るために」国を逃れているのだと主張した。

 さらに、「選別」とされている過程は、ロシアに入国する際の登録手続きにすぎないとして、「ポーランドなどの欧州連合(EU)加盟国でも、ウクライナ難民に同様の手続きを行っている」と語った。(c)AFP/Amélie BOTTOLLIER-DEPOIS