■なぜシステムを変えるのか?

 イーサリアムの採用が広がったことで重要な課題となったのは、環境への懸念とそれに伴う方針転換だ。

 デジタル通貨に詳しい米コーネル大学(Cornell University)のエスワル・プラサド(Eswar Prasad)教授は、「PoWによるマイニングは環境を破壊し、高くつく。しかも非効率だ」と指摘している。

 だが、分散型ブロックチェーンシステムのカーボンフットプリント(温室効果ガス排出量をCO2に換算した数値)は、電力源が必ずしも特定されないため、測定が難しい。

■「プルーフ・オブ・ステーク」とは?

 イーサリアムの生みの親であるビタリック・ブテリン(Vitalik Buterin)氏は、9月中旬に行うマージで「プルーフ・オブ・ステーク(PoS)」と呼ばれる仕組みへの移行を予定している。

 PoSでは、PoWのように電力を大量消費する証明が不要になり、代わりにイーサリアムのブロックチェーンのステーキング(暗号資産の保有による証明)を行う。いわば暗号通貨を賭けることで、より多くのイーサリアムを獲得する。