【6月26日 AFP】ターニャさん(22)は少数派中の少数派だ。ミャンマーのイスラム教徒少数民族ロヒンギャ(Rohingya)で、トランスジェンダーの美容師でもある。世界最大の難民キャンプに暮らす人々の中でも特に多くの差別に直面してきた。

 5年前、ミャンマー軍によるロヒンギャ弾圧を受けてバングラデシュに逃れた約75万人の難民の中に、ターニャさん一家もいた。

 ターニャさんは避難先のコックスバザール(Cox's Bazar)で指折りの美容師の一人に数えられるようになり、他の多くのロヒンギャよりも高い収入を得られるようになった。

 しかし、保守的なイスラム教徒であるロヒンギャの仲間から嫌がらせを受け、家族からは責められ、今も闘っている。

「幼い頃から女の子のようにドレスアップしてメークするのが好きでした。家族はそれを嫌がり、兄たちにはよく殴られました。私のことを恥だと思ったのでしょう」

 10代前半にトランスジェンダーであることを周囲に伝えてからは、暴力や虐待にさらされてきたと言う。「悪魔の呪いだとか、アラーの罰だとか言われていました」

 バングラデシュに避難したロヒンギャ難民のうち、トランスジェンダーであることを公言しているのは約300人で、日常的に他のロヒンギャ難民からの差別や嘲笑、身体的攻撃の対象となっている。

 支援者の一人は、「ロヒンギャのトランスジェンダーの人々が無残に殴られ、道端で血まみれになっていることも少なくない」と話す。