【8月30日 CNS】皮は紙のように薄く、肉は筋がない。外はカリッと中は柔らかく、脂っこいが脂っこくなく、食後は心地よい香りが漂う。それが1000年にわたり受け継がれ、中国で「面食一絶(麺・粉料理の中で絶品)」と称される河北省(Hebei)香河県の(Xianghe)の中華風ミートパイ「香河肉餅」だ。

 1000年以上前、牛肉や羊肉を主食とした中国北部の遊牧民は、貴重な麺・粉を使った料理は来客をもてなす時に限っていた。その代表が肉餅で、清王朝の乾隆帝が香河肉餅を食べて絶賛したことで広く知られるようになった。今や香河肉餅は中国北部の食卓に欠かせないだけでなく、世界中で中華料理を代表する美食の1つとなっている。

「牛肉の詰め物を作るときは手作業で具を刻み、脂肪と赤身の配分に注意を払って餡(あん)を作っています」。香河県の新華大通りにある香河肉餅実演店では、伝統の技法を継承する馬洪松(Ma Hongsong)さんが20種類の調味料を使い、若い弟子たちに指導している。

 牛肉を適切な大きさに切り刻んだ後、包丁の背中でたたき続けて肉の繊維を砕き、うまみを出やすくなる。次に、休ませた生地に肉の餡を入れ、両面に焼き色がつくまで揚げる。湯気が立った肉餅を扇形にカットし、皿に盛り付ける。皮はサクサク、肉はジューシーかつ歯応え満点で、味わいが尽きない。

 香河県の人びとは日本や米国などで肉餅店をオープンしており、今年の北京冬季五輪では選手村の中華料理のメニューに香河肉餅が加わり、多くの選手の舌を楽しませた。香河肉餅協会は「香河肉餅」の商標登録を行い、肉餅の作り方の標準化とさらなる技術開発に取り組んでいる。(c)CNS/JCM/AFPBB News