猛暑の中国で「納涼経済」に活気 懸念はコロナ再流行と電力不足
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【8月25日 東方新報】中国ではこの夏、「正確な記録が残る1961年以降、最も暑い」といわれる猛暑に襲われている。市民は60年間で最悪の暑さを何とか逃れようとしており、「納涼経済(クールビジネス)」に活気をもたらしている。
8月半ばまでに中国全土で気温が40度以上になった地域は、過去最大の136万5000平方キロ。湖北省(Hubei)竹山県(Zhushan)で44.6度を記録するなど、各地で「40度超えは当たり前」というほどの異常な暑さが続いている。
市民は外出せずに自宅で「籠城」しようと、エアコンや冷蔵庫、製氷機、羽なし扇風機などの売れ行きが増加。「暑くて料理する気にもなれない」という家庭が増え、食事のデリバリーも急増している。アイスクリームやドリンクの売れ行きもうなぎ登りだ。
気温が下がる夜間をターゲットに、各地の繁華街はナイトマーケットを展開。飲食店は営業時間を延長し、音楽イベントや花火大会を開くなど、客の取り込みに懸命となっている。
子どもたちが夏休みの8月は旅行シーズンだが、今年は「避暑ツアー」が目立つ。広東省(Guangdong)など中国南部の市民は、東北部の吉林省(Jilin)、西北部の寧夏回族自治区(Ningxia Hui Autonomous Region)など北上ルートを選択。スキーリゾート地として人気の吉林省の長白山は夏場の平均気温が22度と低いことから、この夏も観光スポットとなっている。
豪華クルーズ船「招商伊敦号」は福建省(Fujian)アモイ港などを起点に営業航海を行い、観光客に人気となっている。「遠出すること自体が暑い」という人は最寄りのプールに行くほか、屋内スケートリンクや屋内スキー場もにぎわっている。
ただ、8月に入り、新型コロナウイルスが3か月ぶりに再流行している。観光地として人気の海南省(Hainan)の海南島や新疆ウイグル自治区(Xinjiang Uighur Autonomous Region)、チベット自治区(Tibet Autonomous Region)を中心に感染者が急増。コロナ封じ込めのため、各地で厳格な外出制限が敷かれる可能性がある。
また、猛暑によるエアコンの使用や、長江流域の水量減少による水力発電所の稼働率低下などで、電力不足が深刻化。各地で節電を求める動きが広がっている。コロナ禍で外出はできず、自宅では節電でエアコンをフルに使えなくなると、市民は厳しい生活を強いられることになる。(c)東方新報/AFPBB News