【8月22日 東方新報】中国各地で「60年間で最も暑い」という猛暑が続いている。干ばつや電力不足が深刻となり、市民生活や経済に大きな悪影響を与えている。

 中国中央気象台は連日、3段階で最も深刻な赤色の高温警報を発令。湖北省(Hubei)竹山県(Zhushan)で44.6度を記録したのをはじめ、河北省(Hebei)、重慶市(Chongqing)、雲南省(Yunnan)で44度に達した。上海市では、この夏で40度以上の日がすでに40日を超えている。

 多くの都市で最高記録が塗り替えられ、インターネットでは「もはや40度では全国高温ランキングに入らない」という話題が検索トレンド入りしている。

 中国気象局によると、温暖高気圧に覆われて暖かい空気が地上付近にとどまっていることや、太平洋赤道域の海水温が低下する「ラニーニャ現象」などで大気循環の異常が続いていることが要因に挙げられる。国家気候センターの陳麗娟(Chen Lijuan)首席予報士は、「正確な記録が残る1961年以降で、最強の猛暑となりそうだ」と予測している。

 干ばつによる被害は深刻となっており、各地の農家からは「土がパサパサで、水もない。農作物がどんどん枯れている」と悲鳴が上がる。江西省(Jiangxi)では飲み水すら足りず、支援を求める市民が2万人に上っている。財政部は8月中旬、各地の災害援助で3億元(約60億円)を交付する方針を発表した。

 猛暑によるエアコン需要の高まりが電力網に負荷をかけている一方、長江(揚子江、Yangtze River)流域の干ばつにより、水力発電所の発電量が減少。電力不足が常態化している。

 猛暑と電力不足が特に深刻な四川省(Sichuan)は15日、省内の工場に対して6日間の操業停止を指示。トヨタ自動車(Toyota Motor)をはじめとする日系企業や、米アップル(Apple)に部品を供給している台湾の富士康科技集団(フォックスコン、Foxconn)、米半導体大手インテル(Intel)などの工場が影響を受けている。

 同省は、17日には住宅、オフィス、ショッピングモールで電力制限を開始。「低階層の人は階段を使い、エレベーターの使用を最小限にする」という呼びかけまでしている。

 中国で最も暑い「三大かまど」の一つに数えられる重慶市でも猛暑が続き、市内の地下鉄には「納涼区」が設けられた。自宅で節電が求められている多くの市民が地下鉄に押しかけ、納涼区をはみだして階段の両側まで埋め尽くしている。

 記録的な猛暑の中、各地の市民が「生き残り」に懸命となっている。(c)東方新報/AFPBB News