【8月11日 AFP】巨大なモアイ(Moai)像で知られるチリ・イースター島(Easter Island)は、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的な大流行)を受け2年以上、観光客の受け入れを停止していた。住民はその間、より持続可能な生き方や忘れられた技術を学ばざるを得なくなった。

 観光客の受け入れは、今月1日から再開された。だが、先住民ラパヌイ(Rapa Nui)を含む地元住民は、新型コロナ流行以前とは違う生活を送ろうとしている。

 長老会の会員、フリオ・ホタス(Julio Hotus)氏はAFPに対し、「祖先が予言していた時代が来た」と語った。

 ホタスさんによると、ラパヌイ人の祖先は、いつか島が隔絶された時のため食糧の自給自足の重要性を説いていた。だが、近年こうした警告は無視されてきた。

 チリ西岸から約3500キロ離れているイースター島はコロナ流行以前、食糧供給をほぼチリ本土に依存していた。

 人口約8000人の島には、毎年16万人の観光客が訪れていた。しかし、2020年3月、新型コロナ対策として入島が制限された。

■観光客ゼロ、収入ゼロ

 オルガさんはコロナ流行前、石でつくった小さなモアイ像を観光客に売って生計を立てていた。観光客が来なくなり収入がなくなると、欧州の探検家が島に来る前に祖先がそうしていたように、生きるために畑を耕し、魚をとった。

「私たちには何も残されていなかった。困難な状況に置き去りにされた。だけど、畑を始めた」とAFPに語った。

 入国制限前、島に野菜などの種を届けてくれる制度があり、オルガさんはこれを利用した。ホウレンソウやビーツ、コリアンダー、フダンソウ、セロリ、バジル、パイナップル、オレガノ、トマトなどを植えた。

 多くの人がそうしていたように、食べきれない野菜は近所の人と分け合った。

 8月上旬、2年4か月ぶりに観光客の乗った飛行機が島に着陸した。以前は1日2便だったが、当面は週2便で徐々に増えて行く予定になっている。

 複数の大手ホテルチェーンは引き続き休業することを決めた。

 長老会のホタス氏は「われわれは観光客の受け入れを続けるが、未来に生かせる教訓をパンデミックから学んだと思う」と述べた。(c)AFP/Miguel SANCHEZ