【8月3日 AFP】スペインから中米パナマに到着した空のはずの輸送コンテナを開けて、港湾労働者は驚いた──。

 中には1匹の犬がいた。アンダルシア(Andalucia)州から40日間、コンテナに閉じ込められたまま生きて大西洋を横断してきたのだ。

 やせ細ったキャラメル色の犬は1歳程度とみられ、脱水症状を起こし、全身あざだらけだった。

 その後数か月にわたるリハビリと訓練を受け、今はパナマ農牧開発省(MIDA)で探知犬として働いている。

 同省動物衛生課のセシリア・デエスコバル(Cecilia de Escobar)氏は「犬がどうやって(コンテナに)入ったのか、どうして見つからずにいたのか、分かりません」と語る。「40日間も水も食べ物もなくコンテナの中にいて、どうやって生き抜いたのでしょう」

 コンテナを載せた船は、昨年12月に20日間かけて大西洋を渡ってパナマに着くと、その後さらに20日間、蒸し暑い港に係留された。

「コンテナの一部は腐食していて、そこに小さな穴がありました。おそらく前足で穴を開けて雨水を飲んでしのいだのでしょう」とデエスコバル氏。

 移動中も係留中も降水量は十分あった。

■奇跡の犬

 コンテナから見つかった犬はパナマ市へと運ばれ、そこで獣医師らの手当てを受けた。

 獣医師でMIDAの探知犬担当者のウーゴ・トゥリラチ(Hugo Turillazzi)氏は、発見当時の体重は4キロだったと話す。

「こんなに長く生き延びることができたのは奇跡です。だから『ミラグロス(奇跡の意)』、略して『ミリ』と名付けました」

 トゥリラチ氏は、コンテナに入り込んでしまったときのミリの健康状態がよく、体脂肪が十分だったため何とか生き延びたとみている。

 しっかりと体調を戻した現在、ミリの体重は12キロとなり、状態も極めていいという。