トランプ氏所有コースでリブゴルフ開催、9.11遺族が怒りの声
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【7月30日 AFP】サウジアラビアが後援するリブゴルフ・インビテーショナル(LIV Golf Invitational)シリーズが、今週末に米ニュージャージー州ベッドミンスター(Bedminster)のトランプ・ナショナル・ゴルフクラブ・ベッドミンスター(Trump National Golf Club Bedminster)で開催されることは侮辱にほかならないと、2001年9月11日に起きた米同時多発攻撃の遺族が声を上げている。
リブゴルフ・シリーズの第3戦が行われるドナルド・トランプ(Donald Trump)前米大統領所有のゴルフコースは、ニューヨークの世界貿易センター(World Trade Center)跡地の「グラウンド・ゼロ(Ground Zero)」から80キロ足らずの距離にある。
国際テロ組織アルカイダ(Al-Qaeda)の攻撃で亡くなった約3000人の犠牲者と生存者の関係者グループは29日、3日間にわたって行われる大会開幕前にコースの近隣で抗議集会を行った。
世界貿易センターへの攻撃で父親が亡くなったとき、15歳だったブレッド・イーグルソンさんは、リブゴルフ・シリーズについて「極めて冒涜(ぼうとく)的で、有害で、耐え難いもの」だとAFPの取材に怒りをあらわにした。
現在36歳のイーグルソンさんが代表を務める9.11の遺族会は、残虐行為にサウジアラビアが関与していたと主張。サウジ政府は疑惑を否定している。
ニューヨークとワシントンを攻撃したハイジャック犯19人のうち、15人がサウジ国籍となっている。米連邦捜査局(FBI)が昨年公表した資料には、サウジ政府の関与が示唆されていた。
トランプ氏自身も2016年の大統領選出馬の際に、証拠などは提示せずにサウジアラビアが関与したと主張していた。
イーグルソンさんは、9.11で亡くなったニュージャージー州市民の数に言及しつつ、「(今や)トランプ氏は、750人が吹き飛ばされた場所と目と鼻の先にある自分のゴルフコースで、あの王国をもてなすことを選択している」とし、「それは、とてつもなく腹立たしいことだ」と述べた。
ゴルフ愛好家であるトランプ氏は先日、リブゴルフ・シリーズと契約を結ぶよう選手に促し、支持者として名乗りを上げた。28日に行われたプロ・アマにも参加し、メジャー優勝経験者のブライソン・デシャンボー(Bryson DeChambeau、米国)とダスティン・ジョンソン(Dustin Johnson、米国)というシリーズ最大のスター選手2人とラウンドした。
またトランプ氏は先週、米紙ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)のインタビューで、9.11遺族会からの批判を一蹴していた。
しかしイーグルソンさんは、トランプ氏がリブゴルフ・シリーズに協力したことは、2024年の大統領選への立候補を検討する上で政治的な痛手になるとの見解を示し、「われわれの会の最大支持者には、ニューヨーク市消防局(FDNY)とニューヨーク市警(NYPD)の家族がいる。その一部はトランプ氏の最大の支持者グループだった。だが、もはや違う」と述べた。
リブゴルフ・シリーズは今後、ボストン(Boston)とシカゴ、そしてトランプ氏のコースで行われるマイアミでも開催されることになっており、さらなる抗議行動が計画されている。イーグルソンさんは、「われわれは、すぐにいなくなったりしない」と話した。(c)AFP/Peter HUTCHISON