【7月31日 AFP】「ペットボトルは超迷惑」──イタリア・ベネチア(Venice)のサンマルコ広場(St Mark's Square)に近い静かな中庭の水くみ場で、ボトルに水を満たしていた少女が言う。

 米アリゾナ州から家族で旅行に来たというキーラさん(11)は「海もどこもかしこもプラスチックだらけ」と話す。横にいた父親も「長期の旅行だと特にたくさん使ってしまう」と付け加えた。2人とも再利用可能なウオーターボトルを使うべきとの意見だ。

 地元当局によると、毎年数百万人が訪れるベネチアでは、観光客が出すごみが全体の28~40%を占めるという。これには大量のペットボトルが含まれている。

 こうしたごみ問題への対策として、当局は観光客に対し、市内の広場や路地に点在する水くみ場で水をボトルに詰め、飲用するよう呼び掛けている。

■水くみ場マップ

 ベネチアの都市計画に携わる建築家のアルベルト・キネッラート(Alberto Chinellato)氏は「この歴史的都市には全部で126か所の水くみ場があります。見つけるのは簡単です。ほぼ100メートルごとにありますから」と説明する。

 水道事業者ベリタス(Veritas)が、最寄りの水くみ場を示す地図アプリを提供しているので、探すのはさらに容易だ。

 キネッラート氏は「無料の水くみ場の利用を促進することで、ごみは確実に減ります。(中略)この歴史的都市に持ち込まれるプラスチック製ボトルの数も減り、汚染や輸送も削減されます」と述べた。

 市の中心部にあるホテルフローラでは、経営者のジョエーレ・ロマネッリ氏がプラスチックの削減運動に一役買っている。宿泊客に水くみ場の利用を促しているのだ。「ベネチアの泉を青い小さな水滴マークで表した地図を作りました」

 チェックインの際、宿泊客はベネチアの「おいしい水」について説明を受ける。「『ベネチアの水は飲めるんだ』と驚かれる方もいます」

「宿泊するお客さまも、ほんの小さな行いでプラスチック削減運動に参加できます」とロマネッリ氏。ベネチアを訪れる「途方もない数の観光客」にいくらかの責任感を持ってもらうことができると語った。(c)AFP/Gildas LE ROUX