【7月22日 AFP】イタリアのセルジョ・マッタレッラ(Sergio Mattarella)大統領は21日、上下両院の解散を表明した。これにより実施される前倒し総選挙では、辞任を表明した改革派のマリオ・ドラギ(Mario Draghi)首相に代わり、強硬右派が政権を握る可能性がある。

 政府筋がAFPに語ったところによると、前倒し総選挙の実施日は9月25日で、ドラギ氏はそれまで首相職にとどまる。

 マッタレッラ氏は、議会解散は最後の手段だったが、連立政権を構成する政党間の合意形成ができず、「不可避」だったと説明。一方で、同国はインフレ率の上昇をはじめとする経済・社会的危機に直面しており、これらの課題よりも選挙運動を優先してはいけないとも指摘した。

 現時点の世論調査によると、総選挙ではファシストの流れをくむ政党「イタリアの同胞(Brothers of Italy)」が率いる右派連合が快勝するとみられている。同党を率いるジョルジャ・メローニ(Giorgia Meloni)氏(45)はこれまで一貫してドラギ政権を声高に批判し、解散・総選挙の実施を訴えてきた。

 欧州中央銀行(ECB)前総裁のドラギ氏は、同国が新型コロナウイルスの大流行と景気後退に苦しんでいた2021年に首相に就任。世論調査によると、国民の大半が、もともと来年5月に予定されていた総選挙までの続投を求めていた。(c)AFP/Ella IDE