【7月10日 AFP】10日に行われるテニス、ウィンブルドン選手権(The Championships Wimbledon 2022)男子シングルス決勝でノバク・ジョコビッチ(Novak Djokovic、セルビア)と対戦するニック・キリオス(Nick Kyrgios、オーストラリア)が、寂れた公営コートでプレーしていた太り気味の子ども時代から、まさかのウィンブルドン制覇まであと一歩に迫った自身の道のりを振り返り、すべての「はみ出し者」に勇気を与えるはずだと話した。

 お騒がせ男のキリオスが優勝6回のジョコビッチを撃破すれば、とりわけ物議を醸す大会王者になるとみられる。自身初の四大大会(グランドスラム)決勝に臨む27歳のキリオスは、大一番を前に眠れない夜を過ごしていると明かし、決勝までの時間をつぶしつつ、ラケットを手にぎこちなくポーズを取る内気で太り気味な子ども時代の写真をSNSに投稿した。

 キリオスは「自分に疑いを持っているどんな子どもにとっても、これは強いメッセージになると思う。とにかく続けるんだ。この写真を見てくれ。『モダン・ファミリー(Modern Family)』のマニーそっくりだ」と米コメディー番組の名前を出しながらコメントした。

「自分はキャンベラで育ち、練習コートはひどかったが、こうしてウィンブルドンの決勝に勝ち上がった」

「何らかのはみ出し者だったり、ネガティブな見出しに囲まれたり、さまざまな角度からダメになったりしている子どもたちに勇気を与えると本気で思っている」

 キリオスのキャリアは特に浮き沈みが激しく、選手や審判、さらにはファンとの対立の道のりだった。過去にグランドスラムで8強入りしたのは2回だけで、前回は2015年の全豪オープン(Australian Open Tennis Tournament 2015)。その前は10代で初出場を果たした2014年のウィンブルドンで、世界ランキング144位のワイルドカード(主催者推薦)として臨みながら、4回戦でラファエル・ナダル(Rafael Nadal、スペイン)相手に金星を挙げた。

 本人も、自分の時代はすでに終わったと思っていたことを認めている。

「グランドスラムでは波に乗る必要があるし、耐えなくてはならない場面もある」

「このスポーツが嫌いな時期も間違いなくあるが、同時に今までで自分が誰より負けず嫌いだと思うときもある」

 グランドスラムを制したかつての悪童から、敬愛されるテレビ解説者になったジョン・マッケンロー(John McEnroe)氏も、キリオスを好意的に評価し、英BBCで「彼はプロフェッショナルで、私はそこをとても気に入っている。コートの内外を問わず、私が見た中で最も聡明(そうめい)な人間の一人だ」とコメントした。

 仮に決勝に勝利したとしても、キリオスは自身がそのままジョコビッチやナダル、ロジャー・フェデラー(Roger Federer、スイス)という、合わせてグランドスラム62勝を挙げている3人の後継者になるとは考えていない。キリオスは「次も優勝だなんてプレッシャーをかけないでほしい。フェデラーとナダル、ジョコビッチ、彼らは非常に特別なんだ」と話した。(c)AFP