【7月7日 AFP】スリランカのゴタバヤ・ラジャパクサ(Gotabaya Rajapaksa)大統領は6日、1948年の独立以来最悪の経済危機を乗り切るため、ロシアに燃料の供給と旅客便の再開を要請したことを明らかにした。

 スリランカでは、輸入に充てる外貨が尽きたことから、数か月にわたり停電や物価高騰、食料・ガソリンの不足が続いている。ラニル・ウィクラマシンハ(Ranil Wickremesinghe)首相は5日、同国が「破産国家」となったと述べ、危機は少なくとも来年末まで続くとの見通しを示していた。

 ラジャパクサ大統領は、ロシアのウラジーミル・プーチン(Vladimir Putin)大統領に対し、燃料の緊急支援と両国間の旅客便再開を要請したと説明。また、観光や貿易、文化などの分野での関係強化で合意したと述べた。

 アエロフロート・ロシア航空(Aeroflot Russian Airlines)は先月、支払い関連の問題をめぐり、スリランカの裁判所が同社の旅客機を一時差し押さえたことを受け、同国への運航を停止していた。

 一方、米国と欧州連合(EU)は、ロシアが2月にウクライナに侵攻したことを受け、ロシア産石油に対する禁輸措置を導入。スリランカは5月、アラブ首長国連邦(UAE)ドバイ(Dubai)の業者を介してシベリア(Siberia)産原油約9万トンを購入したのを最後に、輸入代金の支払いに必要な外貨が尽きていた。

 侵攻開始前、ロシアとウクライナはいずれも、スリランカを訪れる観光客の数で上位を占めていた。スリランカの経済危機深刻化を受け、欧米諸国とオーストラリアは自国民に対し、スリランカへの渡航を控えるよう勧告している。(c)AFP/Amal JAYASINGHE