■ただ生きていくだけ

 澎湖の主要都市、馬公(Magong)でアイスクリーム店を営むアンディ・ホアンさん(29)は、中国政府の好戦的な姿勢を目の当たりにしたことがある。

 ホアンさんは、中国が領有権を主張する南シナ海(South China Sea)南沙諸島(スプラトリー諸島、Spratly Islands)にかつて沿岸警備隊員として務めていた。あるとき「中国の3000トン級の沿岸警備艇が、大砲をわれわれに向けて島の周辺をまわっていました」

 ホアンさんら隊員は、中国のものよりもずっと小型の警備艇に乗ってそれを追い払うよう命じられた。衝突には至らなかったが、「銃撃戦で死ぬかもしれないと、ものすごく怖かった」

 あわや戦闘になる可能性を覚悟した体験は、アイスクリームを観光客に手渡すホアンさんにとって、今では遠い昔のことだ。

 だが必要となれば、故郷を守るためにうと決めている。

「戦争が始まれば、私は最初に呼びだされる一人となるでしょう」とホアンさんは平然とした様子で言った。

「でもそれまでは、ただ生きていくだけです」 (c)AFP/Sean CHANG