【6月20日 AFP】国際水泳連盟(FINA)は19日、包括性に関する新たな指針を発表し、トランスジェンダー選手が出場するための「オープンカテゴリー」を新設する方向であることを明かした。実質的に、トランスジェンダー女子選手の女子の部への出場を禁止する施策となる。

 FINAのフセイン・ムサラム(Husain Al-Musallam)会長は臨時総会で、「どんな選手も、最高レベルの大会から締め出されてほしくない」と発言。「トランスジェンダー選手が、自らが選択した性別で戦いたいと思う気持ちは理解しているが、優遇があってはならない」とし、「作業部会を立ち上げ、いくつかの大規模大会にオープンカテゴリーを設置することを目指す。われわれが、こうした取り組みの先陣を切る国際団体となる」と話した。

 この日発表された指針は、加盟連盟にも承認された。しかし、その後の話し合いでは医療委員会のメンバーからの反発もあり、「11歳、12歳の選手に、残りの人生に関わる決断を求めたり、期待したりするのは酷だ」という意見も出た。

 国際オリンピック委員会(IOC)は昨年、トランスジェンダー選手に関する新指針を発表したが、各統括団体に「競技ごと」のルールを作るよう求めていた。

 競泳界では、米国のリア・トーマス(Lia Thomas)が女子の大会に出場して議論を巻き起こし、この件を象徴するトランスジェンダー選手となっている。トーマスは3月、トランスジェンダー選手として初めて全米大学体育協会(NCAA)選手権で優勝を果たした。(c)AFP/Peter BERLIN