「ジギー・スターダスト」誕生50年 デヴィッド・ボウイの象徴的分身
このニュースをシェア
■ジギーの死
ジギーへの変貌を遂げた当初のライブコンサートは客入りが少なく、時にはブーイングも起きていた。だが、同年7月に英BBCの伝説的な音楽番組「トップ・オブ・ザ・ポップス(Top of the Pops)」に出演し、その後の全米ツアーも大成功したことで状況は一変した。
成功を押し上げたのは、巧みな演出や受け狙いという言葉では片付けられない洗練された魅力だった。それは、ボウイ以外のグラムロックの多くのアーティストたちには欠けているものだった。
アルバム「ジギー・スターダスト」は、タイトル曲をはじめ、「スターマン(Starman)」や「サフラジェット・シティ(Suffragette City)」などのヒット曲が満載で、正統派ロックの古典的名盤として輝きを放ち続けている。
特に重要なのは、米誌ローリング・ストーン(Rolling Stone)が当時指摘したように、ボウイは「自分の公的なイメージにおいて、自身の性的指向をありのまま切り離せない要素として捉え、売名に利用することを拒んだ」点だ。
ボウイは、瞬く間に同世代を代表するアーティストの一人となった。
だが、ボウイは1973年7月のロンドン公演で突然、ジギーの終わりを告げた。
後に当時を振り返りながら、「あの頃は薬物の影響もあり、現実と自分が生み出したペルソナとの境目がどんどん分からなくなってきていた。(中略)そうなると、精神の崩壊が始まっていく」とボウイは語っている。
ジギーは死んだ。だが、ボウイはジギーをひな型にいくつものキャラクターを生み出し、その後も大成功を収め続けた。(c)AFP/Philippe GRELARD / Eric RANDOLPH