【6月13日 AFP】ストックホルム国際平和研究所(SIPRI)は13日に発表した報告書で、ロシアのウクライナ侵攻で世界的に緊張が高まる中、向こう10年間に世界の核弾頭数は増加に転じるとの予想を示した。

 報告書によると、核保有国である英国、中国、フランス、インド、イスラエル、北朝鮮、パキスタン、米国、ロシアの9か国の今年初め時点の核弾頭数は推定計1万2705発で、前年の同時点と比べて375発減少した。

 冷戦(Cold War)時代の1986年には7万発を超えていたが、米ロ両国は備蓄していた大量の兵器の処分を進めており、核弾頭数も減少傾向にあった。

 報告書はしかし、軍縮の時代は終わりに近づいているように見えると指摘。核兵器が増加に転じる可能性は、冷戦後で現在が最も高いと警鐘を鳴らした。

 ロシアのウラジーミル・プーチン(Vladimir Putin)大統領はウクライナ侵攻に関連して核兵器の使用をたびたび示唆している。

 報告書はさらに、中国や英国など複数の国が、公式・非公式に核兵器の近代化を図っているか、もしくは増強していると分析。

 報告書の共同執筆者の一人、マット・コルダ(Matt Korda)氏は「ウクライナ侵攻と、プーチン氏の核兵器をめぐる言及の仕方を見る限り、軍縮をめぐる進展は今後は非常に難しくなるだろう」とAFPに語った。

 報告書によると、今年初めの時点で核弾頭保有数が最も多いのはロシアで、5977発だった。

 これに米国(5428発)、中国(350発)、フランス(290発)、英国(225発)、パキスタン(165発)、インド(160発)、イスラエル(90発)が続いた。(c)AFP/Marc PREEL with Viken KANTARCI