【4月25日 AFP】スウェーデンのシンクタンク、ストックホルム国際平和研究所(SIPRI)は25日、2021年の世界の軍事支出が前年比0.7%増加して2兆1000億ドル(約270兆円)となり、過去最高額を更新したと発表した。

 SIPRIは軍事費拡大の要因として、ロシアがウクライナ侵攻に先立ち軍備増強を進めた点を指摘。特に欧州では拡大傾向が続くと予想した。

 新型コロナウイルス禍に伴い経済が打撃を受ける中、各国は7年連続で軍備を増強した。

 ロシアの軍事費は2.9%増の659億ドル(約8兆4800億円)となった。世界5位で、3年連続で拡大。昨年末にかけて急増した。

 国内総生産(GDP)比では4.1%。SIPRIのディエゴ・ロペスダシルバ(Diego Lopes da Silva)上席研究員は「世界平均を大幅に上回っている」と指摘。石油・天然ガスの輸出収入増加が軍事支出の拡大に寄与しているとしている。

 ウクライナの軍事費は59億ドル(約7600億円)だった。約8%減となったものの、GDP比では3.2%。2014年のロシアによるクリミア(Crimea)半島併合後、軍事支出は72%増加した。

 北大西洋条約機構(NATO)に加盟する欧州諸国の間でも、緊張の高まりを背景に軍事支出を拡大する国が増えている。

 一方、米国は1.4%減となったが、額では8010億ドル(約103兆円)と、他国を大きく引き離している。研究開発費の減少幅は予想を下回り、「次世代技術」に注力していることがうかがえる。
 
 2位の中国は4.7%増の推定2930億ドル(約37兆6600億円)で、27年連続の拡大となった。

 中国の軍備増強を受けて近隣諸国も防衛予算を拡大している。日本は7.3%増で、伸びは1972年以降で最大。オーストラリアも4%増加した。

 3位のインドは0.9%増の766億ドル(約9兆8450億円)。英国は3%増の684億ドル(約8兆7900億円)で、サウジアラビアに代わって4位に浮上した。(c)AFP/Johannes LEDEL