【6月10日 AFP】英国南部沖のワイト島(Isle of Wight)で見つかった化石が、欧州の捕食陸上動物としては史上最大とみられるスピノサウルス科恐竜のものであることが分かったとする論文が9日、英サウサンプトン大学(University of Southampton)の研究チームにより、科学誌「PeerJ」に発表された。

 見つかった骨の大半は、同島沿岸での恐竜化石探しに生涯をささげ、英国有数の化石ハンターとして知られていた故ニック・チェイス(Nick Chase)氏によって発見された。

 研究チームは、見つかった少数の骨からこの恐竜を特定。新種として正式に命名することを目指している。研究を主導した博士課程の学生クリス・バーカー(Chris Barker)氏は「全長10メートルを超える巨大生物で、一部(の骨)の大きさからみるに、欧州で見つかった捕食性恐竜としてはおそらく史上最大のもの」としている。

 生息時期は、約1億2500万年前の白亜紀前期と推定。バーカー氏によると、英国で見つかったスピノサウルス科恐竜としては、有名なバリオニクスよりも200万〜300万年遅く、最も新しい時代のものだという。

 スピノサウルス科の恐竜は2本足で歩き、頭部はティラノサウルス・レックス(T・レックス、Tyrannosaurus rex)のような箱形ではなく、ワニのように細長かった。この特徴から、陸上だけでなく水中でも狩りを行っていたという説が有力だ。(c)AFP/Daniel Lawler