【6月3日 AFP】欧州連合(EU)は2日、ウクライナに侵攻したロシアに科す追加制裁について、ハンガリーの反対を受け、ロシア正教会の最高指導者キリル総主教(Patriarch Kirill)を対象から外すことで合意した。外交筋が明らかにした。

 EUの追加制裁をめぐっては先月30日、パイプライン経由で輸送されるロシア産原油を禁輸対象から除外するよう求めたハンガリーのオルバン・ビクトル(Viktor Orban)首相の要求を各国首脳が受け入れたことで、合意にこぎつけたとみられていた。だがオルバン氏がさらに、キリル総主教も制裁対象から外すよう主張したことで、各国は再びハンガリーの要求をのまざるを得なくなった。

 キリル総主教はプーチン大統領を強く支持し、ウクライナ侵攻に賛同している。だがEU各国の首脳の中でロシアと最も近い関係にあるオルバン氏は、総主教を制裁対象に加えることは「信教の自由」に反するとして反対していた。

 ある外交官によると、EU内ではハンガリーに対する「一定の不満と失望」があるものの、追加制裁をめぐる交渉で数週間にわたり押し問答が続いていたことから、全体的な合意の確保がより重要だとして、妥協を受け入れたという。(c)AFP/Max DELANY