ロシア、ウクライナ南・東部の併合目指す動き活発化
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【5月20日 AFP】ロシアがウクライナ南・東部の永久占領または併合を目指す動きを活発化させる中、ロシア大統領府(クレムリン、Kremlin)は19日、ウクライナ支配地域の基本的な生活環境を整えることが重要だと述べた。
ロシアは2月24日に軍事侵攻を開始して以来、ウクライナを占領する意図はないと繰り返し強調してきた。しかし、ロシアとウクライナの親ロシア派武装勢力支配地域の当局者の間では、ロシアがウクライナ南部ヘルソン(Kherson)、ザポリージャ(Zaporizhzhia)両州などの支配地域にとどまる意向をほのめかす声が増えている。
ドミトリー・ペスコフ(Dmitry Peskov)報道官はウクライナ南部の今後について問われると、「地元住民がこの先どうするのか、誰と共に生きていくのかを決めないことには何もできない」として、地元住民が決めることだと答えた。
さらに「社会保障制度は必須だ。中断は許されない」「今は多くの地域で電気や上下水道が通っていない。整備しなければならない」と述べ、住民の基本的な生活環境を整えることが重要だと強調した。
ロシアは2014年、住民投票を経てウクライナからクリミア(Crimea)半島を併合した。西側諸国は投票が違法だと非難している。
ウクライナ東部ドネツク(Donetsk)、ルガンスク(Lugansk)両州の親ロ派当局は、クリミアのようにロシアへの編入を希望すると述べている。
ロシアはヘルソンやマリウポリ(Mariupol)、ベルジャンスク(Berdyansk)など、ウクライナの各都市に地方政府を設置。日常を取り戻したかのように取り繕わせるとともに、ロシアと共存する未来に向けて下準備をさせている。
また、公務員の給与と年金をウクライナの通貨フリブナではなく、ロシアの通貨ルーブルで支給する計画も進めている。
ロシア当局者とロシアが任命した親ロ派支配地域の当局者は南部ヘルソン州について、ロシアとクリミア半島を陸路で結ぶ回廊の一角に当たるため、ロシアに編入される可能性が高いとの見方を示している。
ロシアが任命したウラジーミル・サリド(Vladimir Saldo)「ヘルソン州知事」は「われわれはロシアを母国と見なしている」と述べた。
ロシアのマラト・フスヌリン(Marat Khusnullin)副首相は18日、ザポリージャ州を訪問。同州は「友好的なロシアの家族」の一員になれるとして、「統合をできる限り支援するためにここに来た」と述べた。(c)AFP