【5月16日 CNS】上海市民の劉濤(Liu Tao)さんは午前5時半に目覚まし時計の音で目を覚ますと、すぐにスマホの画面で食料配送サービス「叮咚買菜」のアプリを開く。野菜や肉、乳製品を選び、午前5時59分から「今すぐ支払う」をひたすらクリック。「注文が混み合っています」「売り切れました」という表示が出る中、午前6時7分にようやく注文に成功した。これが劉さんにとって、この1週間で初めての注文。しかも200元(約3805円)以上の商品を選んだが、40.9元(約778円)分しか買えなかった。夕方になって再びアプリで注文を試みたが、ほぼすべての商品が「売り切れ」「補充中」と表示された。

 上海市で厳格な外出規制が行われて以降、こうした様子は多くの住民にとって日常となった。その中で増えているのが、地域の住民が注文をまとめた団体購入だ。中国のSNS「微信(ウィーチャット、WeChat)」でチャットグループを作り、まとめ役の「団長」が叮咚買菜や盒馬鮮生(Fresh Hema)などのプラットフォームに一括購入する。劉濤さんも10個ほど微信の団体購入グループに入っている。

 大手スーパーのカルフール(Carrefour)万里店の季林楓(Ji Linfeng)店長は「オンライン注文は以前の10倍に達しており、配達員がこれまでのような個別配達はできない。団体購入なら、地域全体のニーズに応えることができる」と説明する。封鎖管理地域は配達員もエリア内に入れないため、食料を代表して受け取って個別に配布してくれる団長の存在は欠かせない。

 上海市楊浦区(Yangpu)に住む呉嘉斌(Wu Jiabin)さんは友人たちと集団注文グループを立ち上げ、団長として買い物の「戦略」を練り、一括注文を続けている。「各プラットフォームの価格を比較し、購入した食料を手分けして配分している」という。

 一方で、グループのメンバーから購入に必要な金額以上を集めて不当な利益を得たり、購入した商品を転売したりする「腹黒い団長」が問題になっている。

 上海市市場監督局の彭文皓(Peng Wenhao)副局長は記者会見で「市民の報告に基づき、高額の団体購入を規制する」と表明。不正な利益を上げないよう団長に誓約書を書かせるなどの対策を進める。(c)CNS-第一財経/JCM/AFPBB News