【5月15日 東方新報】世界最大級の日用品卸売市場で「日本の100円ショップの里」ともいわれる中国浙江省(Zhejiang)義烏市(Yiwu)がコロナ禍で揺れている。

 義烏市の卸売市場は7万5000ブース、総面積640万平方メートルを誇り、210万種類の日用品を210か国・地域に輸出している。1~3月の輸出入総額は1062億9000万元(約2兆588億円)で前年同期比63.9%増と好調だった。

 だが、4月21~26日に計3人の新型コロナウイルスの無症状感染者が確認され、市内全域で不要不急の外出が自粛に。さらに27日から行動制限が始まった。上海市の封鎖措置が長期化する中、他の自治体と同様に厳戒態勢が導入された。市内の学校、映画館、バーなどは閉鎖され、出勤の際は24時間以内に検査した陰性証明の提出が義務付けられている。義烏市の王建(Wang Jian)党書記は「地域の力を結集して感染拡大を抑える」と力を込める。

 こうした厳戒態勢により、サプライチェーン(供給網)の停滞が懸念され、「世界中の日用品に影響が出る」と心配する声が出ている。義烏市の配達業者は「すべての業者がPCR検査を義務付けられており、人員は不足している。配達スピードに影響が出ている」と説明。ある業者は「コロナ禍に入ってから利益率は5%に落ち込んだ」と打ち明ける。

 ただ、長引くコロナ禍で地元業者もしたたかに対応している。冷蔵庫用マグネットを20年間販売している王月清(Wang Yueqing)さんは「PCR検査を受けながら、通常業務をしていますよ。イタリアの顧客向けにピサの斜塔のマグネット数万個を出荷する準備をしています」と話す。コップを卸売りしている桂海琴(Gui Haiqin)さんも「商品とスマホさえあれば商売はできます。毎月十数種類の新製品を販売しており、必ずヒット商品がありますよ」。先が見えない状況でも「市場というのは大きな海。常に波風は立つものです」と話し、危機を乗り越えようとしている。(c)東方新報/AFPBB News