【4月4日 東方新報】「20世紀最大の考古学的発見」といわれる中国の始皇帝陵・兵馬俑(へいばよう)が、海を渡って日本にやってきた。京都市京セラ美術館(Kyoto City KYOCERA Museum of Art)で「兵馬俑と古代中国~秦漢文明の遺産~」展が3月25日から開かれている。新型コロナウイルスの流行後、兵馬俑が海外で展示されるのは初めて。日中国交正常化50周年を記念して実現し、来年2月まで静岡県立美術館、名古屋市博物館、東京・上野の森美術館を巡回する。

 兵馬俑は、古代中国で高貴な人物を埋葬する際に副葬された兵士や馬の人形。秦の始皇帝陵の兵馬俑は等身大で作られ、1体ごとに顔が違うことが特徴だ。1974年に陝西省(Shaanxi)の畑で井戸を掘っていた農民が偶然発見。兵馬俑の総数は約8000体と推計され、現在も調査が続いている。

 展示会では、紀元前の春秋戦国時代から中国初の統一帝国・秦朝とその後の漢朝までの文化財を展示。秦と漢両王朝の兵馬俑36体をはじめ、武器や馬具など計約200点を見ることができる。これまで11体しか見つかっていない将軍俑のうち、日本初公開となる1体が「来日」。高さ196センチもの大きさで、始皇帝に生前つかえた将軍の姿を想像できる。

 陝西省歴史博物館(Shaanxi History Museum)の侯寧彬(Hou Ningbin)館長は「兵馬俑をテーマとした展示はこれまで海外で380回以上行われているが、初めて展示されたのは1976年の日本です。今回の展示会は『故地重遊(かつて住んでいた場所への再訪)』と言えます」と意義深げに語る。

 中国メディアは日本各地での展示を「氷を砕く旅」と評している。コロナ禍で国を超えた渡航が難しい中、死後の皇帝を守った兵馬俑たちが国際交流を阻む「氷」を砕く役割を担っている。

 孔鉉佑(Kong Xuanyou)駐日中国大使は「展示会が中国と日本の相互理解を促進し、両国の友情と協力を深めると信じています」と祝辞を贈っている。会場では一部の文化財が撮影可能で、来場者が熱心に鑑賞しながらスマートフォンで撮影している。(c)東方新報/AFPBB News