【5月13日 AFP】ウクライナの首都キーウ西郊で、軍の特別部隊が森や牧場をくまなく歩き回り、捜していたものを発見した。ロシアの「占領者」の遺体だ。

 同部隊は数週間前から、首都周辺の野原や森、壊れた建物などに遺棄されたロシア兵を捜し出しては、冷蔵貨車を転用した「移動遺体安置所」に収容している。

 11日、ロシア兵の遺体を土から掘り起こしたウクライナ兵はAFPに対し、「もし(ロシア軍が)死者の名誉のためにすべきことをしないのならば、われわれが敬意を表して行う」と話した。「敵かどうかは関係ない──われわれは区別しない。これが国際人道法上の規定だ」

 ロシアの侵攻開始以来、キーウ郊外では数週間にわたり激しい戦闘が続いた。ロシア軍は狭い道に阻まれて立ち往生し、ウクライナ軍の反攻を受けた。ロシア軍は3月末に撤退を開始したが、その際自軍兵士の遺体を多数遺棄していったと、ウクライナ側は非難している。

 キーウ西郊のザワリウカ(Zavalivka)では、防護服を着た法医学捜査班が浅く掘られた墓の周囲に規制線を張って作業に当たっていた。数週間前にウクライナ兵がロシア兵の遺体を埋めたと、近隣住民から情報提供を受けた場所だ。

 AFPは、ウクライナ軍の案内で捜査班に同行した。

 住民によると、このロシア兵は生前、負傷し住民に水を求めていたが、ロシア軍が撤退前に殺害したという。AFPは、この情報の真偽を確認できていない。

 一行はシャベルで黒い土を掘った。捜査員の一人が「気を付けて、何かを取り残したり、傷付けたりしないように」と声を掛けた。

 遺体の右腕には、ロシア軍の関係者であることを示す白い帯状の物が巻かれていた。

 捜査班は腐敗が進む兵士の体に触れ、身元特定につながる所持品がないかを確認した後、遺体袋に収めた。